雨上がりにマツタケ山に入る

「今日あたりマツタケが出てるかもしれんから、見にいったらどうや」。今朝、マツタケ山の入札でお世話になった志郎さんから電話があった。

「そうやね、雨が降った後だからひょっとして・・・。行ってみます」
と返事をしたものの、なんとなく億劫だ。10日ほど前、共同入札した和章さんと、鹿対策の妨獣網を200メートルほど張り巡らしてから一度も山に入っていない。「100万円ぐらい稼ごうか」と和さんには冗談で言ったものの、山に入れば確実にマツタケが採れるという保証もなく、また、探し出す自信もない。
しかし二人して3時間かけて網を張ったのだから、まぁ、散歩がてら行ってみようと重い腰を上げ、ミッチィー(愛犬)といっしょに山へ入った。
山と言っても高さ50メートルもなく(標高は200メートルほどか)、登り口までは家から歩いて10分ほど。
ミッチィーはさかんに鼻をくんくんさせて山道をのぼる。この嗅覚力を利用できたらマツタケ長者になれるのに・・・と思いつつ、松の根元を見ながら防網内を歩いた。枯松が目立つが、生きた松も数えたら100本近くはあるだろうか。でもいっこうにマツタケの香りなどしない。先日、防網を張っている最中、マツタケの香りがぷーんと漂よってきたが、あれは希望的錯覚だったのか。 
雲間から青い空が少しのぞいていたが、急にまた土砂降りになるかもしれないと、30分ほど歩き回って早々に下山した。 
9年前の台風の豪雨で溜め池が決壊して以来荒れ果てた薄暗い林道の片隅に、明らかに毒キノコとわかる綺麗なキノコが1本生えていた。鹿は、馬酔木以外の新芽は何でも齧るというが、むろん毒キノコも齧ったりはしない。ミッチィーも本能的に避けて通った。
次回はミッチィーにマツタケの香りを覚えさせて登ってみようか・・・。   村長 平野