コラム
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秋色に染まって無蛾の境地
「やっ、蛾さんでしたか。これは失礼。こんなところで何をしているんですか」
「別に何も・・・。秋色に染まって無蛾の境地、といったところです」
「はぁ、無蛾の・・・なるほどね。なかなかやりますな。自然と一体となる、というわけで?」
「一体も何も、あたしゃ、もともと自然そのものですからね」
「それにしても、柿の枯葉とよく似ています。擬態術ができるんですか?」
「擬態? 天地というこの宇宙においては、柿の葉もあたしもアンタも区別はない。人間はようやくiPS細胞の発見に辿りついたが、その細胞もつきつめていけば一つ。アンタもあたしも」
「うーん、まいりました」
(村長 平野)