コラム
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コガネグモとセミと秋の気配
物置小屋の屋根の上にこの巣ができてもう1カ月もたつだろうか。
今朝も、せわしない小さな羽音がするので見上げると、まさに油ゼミが巣にとらわれているところだった。
しばらく眺めていると、女郎グモにも似たコガネグモは、重力から自由な宇宙飛行士のように尻から糸を吐きだしながら素早くセミをしばりあげていった。その間わずか数十秒、これぞプロと思わせる見事な仕事ぶりだ。
わが家の庭にはいたるところにクモの巣がはられ、いのち短いセミや虫たちがその身をささげている。しかしコガネグにしても、「初夏から夏にかけて成熟し、卵を産んで死んでしまう」というはかない命だ。
ふと西の空を見上げると、入道雲がくずれて秋めいた雲がうかんでいる。
情けないことに、今年の阪神タイガースはとっくに秋を迎えているけれど、早朝の里山の風も秋色になってきた。穂を垂れはじめた田んぼでは、麦わら帽子のおじさんが一本ずつ丁寧に稗(ひえ)を取っている。(村長)