兵庫陶芸美術館 展示会通信

リーとコパーの「造形の魅力」
 ルーシー・リー(1902-1995)とハンス・コパー(1920-1981)は、20世紀ヨーロッパを代表する陶芸家です。

リーはウィーン工業美術学校で陶芸を学んだ後、1938年ナチスのユダヤ人迫害を避けてオーストリアからイギリスに亡命します。ロンドンに住居兼工房を構えると本格的に制作を始め、当時イギリスで影響力をもっていた陶芸家バーナード・リーチ(1887-1979)と交流をもちます。リーは、ロクロから生み出されるフォルムと装飾の融合を追求し、シャープで洗練されたスタイルを確立しました。
コパーもリーと同じ境遇でドイツからイギリスに亡命します。コパーは当初、彫刻家を志していましたが、リーの工房で働き始めるとロクロの技術を学び、陶芸に取り組んでいきます。その後二人は共同制作を行うなど互いに影響を与え合い、生涯にわたり良き友として親交をもちました。コパーは、ロクロで挽いた複数のパーツを繋ぎ合わせることで彫刻を思わせる作品を作り、「陶」を用いた造形の可能性を追求しました。
ここ数年、リーとコパーの大規模な回顧展が各地で開催されたことにより、二人の造形に対する関心が高まっています。本展では、当館が所蔵するリーとコパーの作品を展示し、その造形の魅力を紹介します。

■ 展覧会名    ヨーロッパの陶芸-ルーシー・リーとハンス・コパーを中心に
■ 会  期    平成24年6月23日(土)~9月17日(月・祝)
■ 会  場    兵庫陶芸美術館 展示室3
■ 休 館 日   月曜日休館
ただし7月16日(月・祝)、9月17日(月・祝)は開館し、7月17日(火)、9月18日(火)は休館 (入館はいずれも閉館時間の30分前まで)

■ 開館時間    10時-19時
※ ただし7~8月の金曜日と土曜日は10時-21時
■ 観 覧 料   特別展の観覧料に含まれます
※ただし、次のテーマ展のみの期間(特別展のない期間)は下記観覧料となります。
平成24年8月28日(火)~9月7日(金)
一般200円(160円) 大学生150円(120円) 高校生100円(80円)
・( )内は、20名以上の団体割引料金です。
・中学生以下は無料です。
・65歳以上の方は半額になります。
・障害のある方およびその介護者は半額になります。

■ 主  催   兵庫陶芸美術館 丹波新聞社
■ 会期中のイベント  
○ ギャラリートーク(学芸員による展示解説)
いずれも午前11時より、当館展示棟展示室3にて(30分程度)展示棟エントランス集合
7月1日、7月15日、7月29日、8月12日、8月26日、9月9日
■ 主な出展作品
ルーシー・リー
瓶 1960年代
解説
この瓶は、ロクロで別々に作った筒状の胴部、細く長い頸部、朝顔のように広がった口縁部を組み合わせたもので、それぞれが見事に調和し美的なフォルムを形成しています。また、やや揺らぎを持った口縁部の内側にクリーム色がかった白釉を塗り、その上から赤い線模様の象嵌を、外側にはマンガン釉を掻き落として白い線模様を施しています。

ルーシー・リー
鉢 1980年代
解説
表面に厚く重ね塗りした釉薬が溶け合い、無数に現れた細かい泡の間から素地の土が見えます。この鉢に施された釉薬は、リーが行ってきた釉薬の実験により生まれたもので、まるで溶岩のような質感を持つことから「溶岩釉」と呼ばれています。すっきりとしたフォルムに荒々しい質感を持つ釉薬がみごとに調和し、重厚な雰囲気を漂わせています。


ハンス・コパー
壺 1960年頃
解説
この壺は、ロクロで別々に作った幾つかのパーツを繋ぎ合わせたもので、コパーの作品は多くの場合このようにして作られます。ロクロで作った筒状や球状の単純なパーツを組み合わせるには、造形に対する鋭い感性と創造力が求められます。コパーは「土」という素材とロクロの技術を用いて個性的な作品を生み出しました。

ハンス・コパー
壺 1970年代
解説
この壺は、胴部に見られる球状の立体と、口縁部に見られる円盤状の平面を組み合わせたものです。尖った肩部から膨らみのある底部にかけてゆるやかな曲線を描いています。視点を変えると様々なフォルムが現れ、立体造形としての完成度の高さが窺われます。
解説データは必要でしたらご利用下さい。

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http://www.mcart.jp/24/exhibition/Europe/Europe.htm

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