コラム
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小雨のなかタケノコを掘る
スーパーには3月半ばに鹿児島産のタケノコが並んでいた。この時期、丹波では猪くんが旬のタケノコを食べている。まだ土のなかのタケノコをパワーシャベルのような鼻をつっこんで掘りあげる(現場を見たことはないが、きっとそうだ)。猪くんが食べ飽きると人間におすそわけが回ってくる。
おすそわけの時期は毎年、4月末から5月初旬。でも今年はちょっと早めに、毎年掘らせてもらっている近くの竹林に入った。丹波里山くらぶのメンバー・山本茂樹さんの竹林だ。
「タケノコ、もう出てますか?」
昨日(4月19日)、茂樹さんに電話したところ、
「さぁ、知らんで。志郎はんが防獣網を巡らしたから、どうかな。行ってみな」という返事。
天気予報どおり今朝は小雨が降っていた。
タケノコ堀りの前に犬の散歩ついでにわらびを摘み、山蕗も採った。山道は桜の花びらでピンクに彩られ、山には赤紫のツツジが咲きだしている。里山に巡らしている防獣の金網の扉が倒れていた。猪くんの仕業だ。扉を起こし形だけ元にもどしておいたが、修復しないと役にたたない(山回りの役員さんに報告しよう)。
旬のものを一物全体
昼前に合羽を着て、ジョレン1本にカメラを持ち竹林に入る。すでに人が掘った跡が点々とある。猪くんの掘り方ではない。これなら、ありそうだ。
昨年は夕方にこの竹林に入って目星をつけ、翌朝掘りにいったら猪くんに一つも残らず掘り返されていた。今年は防獣網の効果が少しはあったのだろうか、土から顔をのぞかせたタケノコをすぐ見つけた。小さいものばかりだが小一時間時で10個以上掘った。あと1週間ほどすれば1個で10個分ほどの重さにもなり、食べ飽きるほど出てくる。
タケノコは掘ったらすぐアクヌキしないといけない。鍋にヌカを入れて小一時間ゆでる。
かぐや姫の十二単の下着?のように薄い「姫皮」を捨てる人が多いが、それは実にもったいないことだ。旬のものを一物全体、身土不二、陰陽のバランスある食事がマクロビオテッィクの基本。我が家では、姫皮を味噌汁に入れたり和風スパゲティの具にもする。
筍ご飯もいいが、今夜は和風スパゲティに姫皮を入れてもらうとしよう。
筍の天ぷら、筍とおかか、筍とふきと厚揚げ、筍と葉山椒、筍と空豆、筍と豚肉……など、タケノコは実に重宝する食材だこと。
やがて田植えも終わるころ、雨後のタケノコはアッという間に太竹になっている。山々はあっという間に新緑に萌え、そして、あっという間に初夏が来る。 (村長 平野)