本場・丹波の黒豆

黒豆は、正確には「黒大豆」といいます。つまり、黒い大豆というわけです。
 毎年、12月末には正月料理には欠かせない食材として出荷が始まります。
 丸い粒が大きくて、料理すると1.2~1.4倍ほどに膨れます。


黒豆になる前の10月は、黒枝豆(黒大豆の枝豆)として出荷されます。そう、ビールのつまみには最高の枝豆です。味に深みがある黒枝豆を食べると、いわゆる普通の枝豆(大豆の枝豆)は、「物足りない味に感じる」と、多くの人が言います。しかも黒豆は「健康食」としての効能もよく知られています(※黒豆の効能については本文の最後に)

黒枝豆のほんとうに美味しい時期は

黒豆枝豆の出荷は、早いところでは9月中旬ころから始まりますが、本格的になるのは10月初旬ですが、「ほんとうに美味しいのは10月中旬から下旬にかけて」と地元の人たちは口をそろえて言います。そのころになると、鮮やかな緑の豆のさやが次第に茶色にくすんでくるので、見栄えはよくありません。そのためもあって、10月初旬にはスーパーなど黒枝豆が出回ります。そして10月20日以降には、あまり見かけなくなります。
でも、繰り返しますが、ほんとうに美味しいのは10月中旬以降。写真の左端から右3番目あたりまでの薄赤紫色になった豆です。ビールのおつまみに、豆ご飯にも最高です。
豆は黄緑色からしだいに薄赤紫に変わってゆき、最後のころは濃い赤紫。この頃(11月初旬)に、畑の株ごとの葉っぱをすべて取ってしまい、そのまま乾燥させるわけです(または、畑から株ごと引いたり根元から伐って、株ごと軒下などに吊るして乾燥)。カラカラに乾燥させて、豆のさやが手で揉みほぐせるほどになると、楕円形だった豆が丸くおさまっています。こうして12月末、丹波のお正月には欠かせない黒豆が市場に出始めます。

※黒豆の効能について

  黒豆の成分は、通常の「大豆」の成分とほとんど同じですが、豆をおおう黒い皮にすごいパワーがあるのです。ですから丹波では、黒豆の煮汁もよく飲まれています。
   まず、ポリフェノールの一種である「アントシアニン」という抗酸化物質が、老化の原因とされる活性酸素を抑える抗酸化作用があり、これが血液をサラサラにする力があるとして注目を集めています。黒豆アントシアニンの抗酸化作用は、ブルーベリーよりも強力といわれるのは、「シアニジン-3-グルコシド」という種類のアントシアニンが96%も占めており、このシアニジンがより優れた抗酸化作用を持つことがわかっています。ちなみに黒豆に含まれるシアニジンはダイエット効果もあるといわれ、アントシアニンが多いビルベリーよりも3倍も含まれているということです。
 黒豆の微量成分はほかにも、イソフラボン、サポニン、レシチン、コリン、タンパク質、リノール酸、αリノレン酸、炭水化物、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ビタミンE・B1・B2などがバランスよく含まれており、ダイエットや美容にも効能があるというので、近年は黒豆茶や黒豆きな粉など、さまざまな健康・加工食品がつくられています。