コラム
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海外からの研修性や農ツアーをもっと呼び込もう
今日は10時から昼まで集落の集まり(林務部・池係りの合同総会)があり、その後、車で30分の市島町の山麓まで水汲みに。その帰り道、久しぶりに橋本さん宅を訪ねたところ、「どこかの畑で葉もの野菜を収穫しています」と奥さん。
畑は3か所ほどあるのを知っていたので、「たぶんあそこだろう」と車を走らせると、農道に軽トラが止まっていた。新年のあいさつをしながら畑に入ると、最近人気が出ているという「中国野菜のターサイ」を摘んでいいた。少し離れたところで別の野菜を摘んでいたのはフランス人の青年。この4日から2週間、橋本さんの農場に研修にきているという。兵庫県有機農業協会の役員もしている橋本さんの元には、年中、外国からの研修生が何人か滞在している。
いろいろと世間話をするなかで、丹波ニューツーリズムの話題になり意見が一致した。
「農体験ツアーなんかは若い人たちがやってくれたらいいけど、ぼく自身はもうあまりやりたくない。サポートぐらいはするけどね。農業体験に来ても、たいていの人は続かないから、せいがない。儲からんし、疲れます。それより、これからは外国人を専門に受けいれたほうが楽しいしやりがいもある。農体験だけでなく、たとえば坐禅をするとか、そんなメニューを入れたら彼らは喜びますよ」
ざっと、そんなことを橋本さんの方から言い出したので、田舎元気本舗ではもう2年前から「坐禅」をツアーメニューに入れており、ぼくも毎月(時間のある限り)、最明寺のあけぼの坐禅会に行っていることを話した。すると彼は、「ぜひ行ってみたい」と作業を中断してノートにメモを取っていた。
いまや全国各地でおこなわれている「農体験ツアー」を否定するつもりはないけれど、旅行会社が主催するその手のツアーは、「収穫体験ツアー」が多く、いわゆる「おいしいとこ取り」の一過性のイベントであり、ほんとうの意味での農業体験とは言い難い。有機農家としてほんとうに伝えたいことも伝わらない。(夏の暑いさかりにきて、草刈をする、そんなツアーを聞いたことがないし、募集しても来ないだろう)。一過性であっても、忙しい畑仕事の時間を割いて、その対価に見合う儲けがあるならまだしも、儲からないのだから疲れてしまう。
橋本さんは長年そういう手軽なイベント的ツアーも受け入れてきただけに、そこはもう若い農家に任せたい、というわけなのだ。幸いこの数年、丹波で新規就農した若い人たちがその受け皿になってくれる。専業有機農家としてのキャリアも十分な橋本さんは英語も堪能なので、彼にしかできない役割と使命があるはずなのだ。
いまは海外からの研修生は、橋本さん宅の敷地にある家に寝泊まりしているが、いつか本格的な研修センターをつくりたいという夢をもちながら、百姓らしく地に足を着けた活動を続けている。そんな橋本さんに久しぶりにあってうれしく思ったのだった。
橋本慎司さんの「有機農業の現状と近未来」