漬物の味

私は長いあいだ漬物の味を知らなかった。やうやく近頃になって漬物はうまいなあとしみじみ味うてゐる。略。

山のもの海のもの、どんな御馳走があっても、最後の点睛はおいしい漬物の一皿でなければならない。
漬物の味が解らないかぎり、彼は全き日本人ではあり得ないと思う。そしてまた私は考える。
― 漬物と俳句の間には一味相通するところの或る物があることを。―
                     
出典:山頭火著作集Ⅲ「愚を守る」  大山澄太編 潮文社新書