岩津ねぎの旨さを教えてくれた画商Mさんを偲んで

寒さ厳しい折、風邪などに気をつけてご自愛のほど・・・。なんて文末に書きながら、自分が風邪をひいてはしょうがないね。

「薬を飲みなさいよ」と妻に再々言われても飲まないからだろう。治るのが遅いのはたしかだ。ぼくは風邪をひくといつも喉がやられる。「風邪のときぐらいタバコを止めたら」と言われても、はいはい、そうしますとはいかない。トローチを出してきたので、これぐらいはいいだろうと妥協する。
昨夜も床に就いてから咳こみが激しく、なかなか寝付けない。風邪なんか寝ていれば治ると思うのだが、じっと寝ているのも性分としてできない。昨日は、日中暖かったせいで、畑仕事にせいだして大汗をかき、3時間ほど伐採した木の葉を燃やしたりして、夕方になってからまた喉が痛くなった。
トローチよりも、山名の「早春賦」のほうがいいに決まっているから、喉に流し込む。嗚呼、気持ちよくほろ酔いの頭で・・・今年3月に亡くなったという姫路のM・Aさんのことを想う。

この時期になると、「喪中につき・・・」のはがきが毎年数枚届くが、一昨日届いたのが奥様からの喪中はがきだった。見たとたん、思わず絶句。
画廊を経営していたMさんには、姫路にいるときはずいぶんお世話になった。Mさんは鴨井玲の絵を観たことで一念奮起、20代で脱サラしたというだけに画商らしくない(?)知性と静かな情熱を秘めたジェントルマンで、高価な名画の買い付けに欧米諸国をわたり歩き、東京に置いても恥ずかしくない画廊を経営されていた。ぼくより少し先輩でバカ話できるほど親しいわけではなかったが、とても気になる存在ではあった。この十年以上、数年に1度会うかどうかというほど疎遠にはなっていたけれど、企画展の案内はがきは毎年3、4回届いていた。「美の風」という画廊の機関誌も何冊か送られてきたが、たしかこの春(昨年暮れ?)届いたM画廊の周年記念も鴨井玲展ではなかったか。こんなことなら、昨年何度か姫路に行った折に訪ねておくべきだった。

いま庭の畑には、岩津ねぎ(朝来市の特産)が大きく育っている。雪が降り出すころに繊維が柔らかくなり甘味が増す。このねぎの旨さを、「炭焼きして、おかかに醤油がいちばんおいしい」と、姫路の居酒屋で教えてくれたのはMさんだったことを思い出した。ご冥福を・・・。