神、人、自然

 13世紀から18世紀にかけてヨーロッパでは、 「動物裁判」 なるものが行なわれた。 人や家畜を殺傷し、 畑や果樹園を荒らした豚、 犬、 牛などをはじめ、 小動物も裁かれた。 (丹波新聞「丹波春秋」より)

▼農作物に被害を与えたネズミには退去命令が下され、 ブドウ園を荒らした毛虫には 「6日以内に畑から退去せよ」 との判決がおりた。 裁判だから弁護側もいれば、 検察側もいる。 弁護側が 「動物も人間と同様に神がつくったもの」 と論じると、 検察側は 「人は、 神からすべての生きものを支配する権利を与えられている」 と反論した (池上俊一氏 『動物裁判』)。 ▼西洋では、 自然界は人間のために存在するものであり、 神―人―自然という序列があった。 動物裁判の背景にある思想だ。 それに対して日本では、 神と人、 自然の3者に序列はなく、 融合していた。 ▼篠山市立歴史美術館で今、 特別展 「神と獣の棲むところ」 が開かれている。 猿や鹿、 猪などを描いた掛け軸などを展示し、 動物を神の使いとしてあがめた先人の考え方を紹介している。 ▼私の住む村には、 猪や鹿を捕えた者に 「ほうび」 を与えることを明記した江戸時代中期の古文書がある。 ほうびを与えるというのだから、 農作物を荒らす猪や鹿によほど業を煮やしたのだろう。 神格化する一方で、 害獣として現実的な対応もとる。 興味深い底の深さだ。(Y)

丹波新聞 
2013年10月13日
 

コメント:丹波新聞の「丹波春秋」(社説コラム)には時々、大きく頷かされることがあり、この日のコラムも味がある。
先週(11月9~10日)、カミさんと神話の国・出雲の神様に会いに行った。オオクニヌシノミコトと因幡の白うさぎの神話もなかなかいいですね。
1泊した「はたご小田温泉 茶寮 清泉亭」は料理も家族的なもてなしも最高だった(後日紹介します)が、そこで目にした「島根日日新聞」の「島根調」という社説コラムに、地域と農業活性化のためにも、「全国の学校に二宮金次郎の銅像を建てよ」とあって、思わず唸ったあと笑ってしまった。現代に二宮金次郎がよいかどうかはともかく(きっと善い)、地方紙にはよく漬かった沢庵のような歯ごたえと味わいがあり、ストレート勝負(論調)でがんばっていますね。その点、全国紙はとかく観念的な変化球ばかり投げて読者を空振りさせ、どうにも胡散臭いなあ。 村長