九尺ふじの謎・・・白毫寺

九尺といえば・・・約2.7メートルかと想像しながら、ライトアップされた白毫寺の名物ふじを観にいくことになった。

 
5月12日(日)は、大名草庵(おなざあん)の5周年記念イベントにカミさんと行った。そばを3人前食べて太鼓演奏を聞いてから途中で帰り、それからずっと畑仕事。そして8時前に、カミさんと約束していた九尺ふじツアー。家から車で15分ほどだが、カミさんに誘われていなかったら、ライトアッップの九尺ふじを一生見ることはなかっただろう(この日も阪神タイガースはデーゲームでヤクルトを3タテして6連勝、ナイターがないから行ってみようと)。なにしろ、うちのカミさんは女性だから、あれやこれやと見るのが好きなのだ。
白毫寺のふじは、丹波に移住して間もないときに一度観にいったし、5年ほど前、親類が遊びに来たとき「混まないうちに観たい」というので早朝に出かけた。たしか9時ごろだったと思うが、そのときすでに1キロ以上、車が列をなしていた。ゆっくりする時間がなかったので、「近辺を走ったらいくらでもふじが咲いているよ」とぼくは言って、山々のふじ景色を観ながら1時間ほどドライブしたのだった。

いまも家の裏山にはふじが咲いているし、目の前の山のあちこちにもふじが満開だ。ぼくとしては畑をしながらそれらを観たら堪能できるけど、好奇心旺盛な女性であるカミさんは納得しないらしい。
というわけで、ぼくは「1尺は約30センチ、9尺は約2.7メートル」と頭に描きながらお伴をしたのだった。寺の門からかなり離れた道路わきに駐車場がいくつもあるが、さすがに車をみたのは第1駐車場だけだった。それでも数十台は停まっていた。
門で300円(一人)の拝観料を払いながらぼくは馬鹿なことを言った。
「9尺といえば3メートル近いですよね。白毫寺のふじを分けてもらった桂谷寺のふじ棚は、まだ木が若いから1メートルもないですよ」
桂谷寺というのは我が家から3キロほどにある白毫寺(天台宗)と親類筋のお寺さんだ。
檀家らしい門番の人は「3メートルもないけどね・・・」と言って、曖昧な表情を見せて笑っている。

まぁ、とにかく・・・足を踏み入れる。おおっ、ワンダフル! ビューティフル! 
すごーい! すてき! 
幻想的な光景がパッと広がった。L字に組まれたふじ棚は、その距離100メートルはあるだろうか? いや、妄想を逞しくしたら、悠に3千メートル以上はあるだろう。
今宵は上弦の月で、闇は深いが、ライトアップされたふじ棚はまさに仏国土の天蓋だった。天蓋の下に置かれた椅子に座って物思いにふける人や恋人達。上弦の月の闇に目を凝らすと、仏さまもいらっしゃる。
このさい、ふじの花が何メートル垂れさがっているかなど、どうでもいい。これはすごい、と胸のなかで何度もつぶやいたのだった。

ぼくもカミさんも写真を撮りまくったけれど、この幻想的な写真がなかなか撮れない。やっぱり、仏国土の天蓋は自分の目で確かめるにしくはないと、撮った写真を見比べながら思うのだった。若いカップルにぼくらの記念写真を撮ってもらい、「ありがとう、君たちも撮ろうか」と言うと、「いえ、もうたくさん撮ってもらいました」。
ところで、問題の、九尺ふじの謎のことだが、それは門を入ってすぐのところに、ヒントとなる生き物(鳥)がいる。次の5つのなかから答えを見つけてください。
九官鳥、ふくろう、孔雀、七面鳥、カナリア

帰りの車中での会話。
「九尺ふじというネーミングがよかったんだね。想像と妄想をかきたててくれる」
「そうね、七尺でも八尺でもない十尺でもないし、九尺の語呂があってるわね」
「この世には白髪三千丈の世界もあるし・・・」