稲作農家の時給わずか179円

  2007年度の米生産費から換算

 農水省は9月9日、「2007年度の米生産費」の調査結果を発表しました。それによると稲作農家の1日8時間あたりの家族労働報酬は全国平均で1430円、時給にするとわずか179円であることがわかりました。 規模別で見ると1−2ヘクタール(市島の有機米農家が最大2ヘクタール)わずか80円2−3ヘクタールで411円、全国で数%しかいない5ヘクタール以上の大規模稲作農家でようやく1500円になるそうです。

 産業界の平均時給

 有機米は高いと言われていますが、これから見たら市場価格の2倍以上しても2ヘクタール以下では労働者の全国平均650円にも満たないのが現状です。ちなみに各産業界別に平均時給を見てみると1位が石油製品・石炭製品製造業で3961円、2位が電気・ガス・熱供給・水道業で3849円、3位が金融・保険業の3764円、4位が教育・学習支援業、5位が化学工業製造業で3217円となります。

 労働者の平均は650円、派遣平均時給は1555円ですが、中国などから来られ、工場や農場で働いている労働者の平均は300円から400円なので規模拡大に必要な雇用も現在の平均時給では困難なことがわかります。

  耕地面積は、1万900ヘクタール減

 低い労働条件は労働への意識の減退、離農、耕作地の放棄に繋がっています。もともとの農産物価格が労働対価に合わないものなので、有機農産物がたとえ市場価格の倍であってもなかなかこれで生計を立てるのは困難です。現存している農家の多くは長時間労働も余儀なく、休日も皆無です。時間当たりの収益は非常に低いので農業で生計を立てるには休日返上で働き続けるしかありません。市島町は「有機の里」として有名ではありますが、本当に専業でやっている方は1万人の人口でわずか数十軒、農業で生活はできないことが常識になっていて、若い世代で農業を継ぐ人はほとんどいません。大半が兼業で収入は主に外での仕事、農業に従事するのはおじいちゃん、おばあちゃんで農業の高齢化に歯止めがかかりません。                              

 最近、市島では新規就農者も少しずつは増えていますが、放棄地は増加する一方です。ちなみ2009年度の日本の耕地面積は前年度から1万900ヘクタール減っており、うち9770ヘクタールが耕作放棄地です。何代にもわたって石を手で取り除き、堆肥を入れて肥やしてきた田畑がどんどん放棄地になっています。「橋本さん、もう年取ってできんのでうちの畑をたのめんか?」よく、近所のお年寄りから電話がかかってきますが、うちも手一杯でどうにもならず、断るしかありません。

                                     (市有研便り 09年11月号より)