「ビジョン・ヨガ&ネイティブ・フルート」に参加して

ひとりで出かけては、その日に出来る分の田植えをする。
それがなかなか心地よい。
天気と相談しつつ、好きなときに無理をせず。

 
   これは、真砂秀郎著『畦道じかん』のなかの「田植え三昧」の一節。
4月28日、真砂秀郎(ひであき)さんのネイティブ・フルートとビジョン・ヨガのセッション?に行ってきた。
 土日は何かと集落の用事が多いのでなかなか出にくい。でもインディアン・フルートの演奏を聞きたかったし、友人の岡田敏明さんの誘いということもあって参加した。翌日の29日には西宮の廣田神社でライブをするということだったが、その日はれんげ祭りの準備で行けない。
というわけで、黒井駅発7:08の電車に乗って、大阪・南森町のビルの一室会場に着いたのは、10時開始10分前。すでに20人ほどの参加者が床に敷いたマットに腰をおろしてスタンバイしていた。若い女性が多いが男性も5、6人いた。
真砂さんはイメージしていたとおりの人で、第一印象はまさにネイティブ・インディアン。日本人とアメリカインディアンのモンゴロイドDNAルーツは同じだが、それにしても、いろいろな意味でネイティブな匂いがする人だ。
ビジョン・ヨガのほうは正直どうでもよかった。ところが、先生の後藤有美さんはチャーミングな女性だったので、その点が特によかった!

 ネイティブ・フルートの演奏をBGMにヨガの初歩レッスン。これが広い草原であったらなおさらいいだろうなと想いつつ、心地よい2時間があっという間にすぎて、希望者は昼食をかねた交流会の会場へ歩いて移動した。そこでは、竹内英二さん(日本食育協会・理事長)が調理した重ね煮の玄米・野菜カレーをいただき、十数名の参加者と名刺交換して談話しながら2時間ほどすごす。
自己紹介のとき「ぼくは畑(ハタ)ヨガをやっていますので、とくにヨガに興味があったわけではないのですが・・・」と冗談ぽく挨拶すると、後藤先生はチャーミングな目をくるりと回していたっけなぁ(実は、カミさんも別流派?のヨガの先生です、とは言えなかった)。
真砂さんとはいろいろ話をしたかったが、主賓をひとりで独占するわけにはいかない。ところが帰りの時間も迫っていたとき、「本を交換しませんか」と真砂さんのほうから言ってくれたのは嬉しかった。彼の著書『畦道じかん』(TEN-BOOKs)と拙著『桜沢如一。100年の夢』を交換した(セッション会場に10作品ほど並べてあった録音CDのうち、『もりのいのち』を一枚買っていたが、この本も読みたいと思っていたから)。
真砂さんは12年前から神奈川県葉山市にある棚田で自然農法(冬季湛水不耕起農法)の米づくりをしているという。そこで体感したことを文章と写真でまとめた詩画集のような本である。
「若いころ玄米食を2年ほど続けていた」という真砂さんが、棚田で米作りをするに至るまでにどのような人生を辿ってきたのか何も知らないけれど、魂を震わせるようなネイティブ・フルートの演奏同様にこの本はすばらしい。アーティスト(詩人)らしい文章もさることながらカラー写真がとてもいい。絵のような構図(カメラアングル)といい、光の陰影といい、漂う気配といい、さすがだ(もとは画家だったとも聞いた)。
以下、本の一節(「青蛙」P88)を紹介する。

梅雨も一段落した谷戸で、ひとり田の草取りをしている。
ある瞬間、辺りの気が転ずるように、蛙の鳴き声が響きだした。
黙々と泥んこのなかで草を抜きながら一歩ずつ畔の土手に近づくにつれ、
鳴き声は勢いを増す。 
どうやらその土手の斜面の草むらにその蛙が居るようだ。
小さな身体で感心するほどのボリュームだ。
そうしている内にそこら中の蛙が呼応して加勢するように鳴き始めたので、
またたく間に谷中が蛙の合唱でいっぱいになった。
・・・この草むらは俺達のテリトリーだ・・・・。
とこの鳴き声は主張している。
ふとそんな思いがよぎって、草取りの手が止まった。   略

 あぁ・・・わかるなぁ。この心境というか、孤独な至福のじかん。彼に出会った瞬間にネイティブなDNAと土臭い匂いに親近感を覚えたのは、こういうことだったのかと、この本で納得したのだった。

※追記
後でHPを見たら、作曲やライブ活動、満月コンサートのプロデュース、詩画集や絵本の出版など、本当に多才な詩人アーティストでした。HPのなかに、詩的なブログもあります。

真砂秀郎さんのHP