カラオケ合戦に負けた与作の気分

例年、4月の第1日曜日におこなう野上野1組(集落)のお花見。春の嵐はすぎていたが、判断に迷う天候だった。

   昨年はその間直にご不幸があったため取りやめとなった。今年は雨のち曇りの天候を見て、公民館ですることになった。
 いつもの観音堂横の野外でするのか、公民館でするのか。いずれにしてもぼくが組長として段取りをしなくてはいけない。ぼくは前日に買い物に行き、焼き鳥の仕込みをした。妻は「おむすび100個」の準備をしながら、ずっとやきもきしていたが、「明日の朝、決めるよ」とぼくは言った。ぽかぽか陽気であれば野外の花見のほうがよいに決まっている。
当日(7日)の早朝、南の空に晴れ間が覗いていたけれど、全体に雨雲が大きく広がっていた。晴れても寒そうだった。妻の忠告どおり、生まれて間もない赤ちゃんが2人いることも考慮して、公民館ですることに決めたのだった。妻の忠告と組長としての判断は正しかった!!
参加者は赤ちゃん2人を含めて22名。11時から始まり午後3時まで、カラオケに興じることになった。ぼくは皆を盛り上げようと、「今日は一人一曲歌わないと帰しません」と宣告し、トップバッターでマイクを持ち、北島三郎の『与作』を歌った。かつてはオハコの曲だったが評価点数は66点。この低い点数に刺激を受けたのか、次から次へと歌い手が代わり、カラオケ合戦となった。ぼくは3回チャレンジしたが68点止まり。最高点は82点、お隣に住むMさんだ。79点の次点の二人に、日本酒1升瓶を賞品とした。
「平野はん、来年までしっかり練習しときよ!」とMさんにはさんざん言われた。
「いや、このカラオケはきっとネジが一本外れている」と笑って強弁する。
とにかく皆よく飲み、よく食べ、よくしゃべり、よく歌った。
長老格のKさんには「いやぁ・・・今日は楽しかった。みんなも喜んでいますよ。ありがとう」と何度も感謝された。最近、野上野1組はこうして盛り上がることはなかっただけに、Kさんの言葉がうれしかった。

今日は青空が広がる花見日和。花を散らす風もそよそよと心地よい。観音堂の老木の桜に比べて、我が家の庭の桜はまだ勢いがあるけれど、道路にいっぱい花を散らしている。これからいよいよ畑仕事が忙しくなるが、いまは何となく中途半端で、カラオケ合戦に負けた与作の気分だ。
空晴れて 宴のあとの 散り桜    空太