畑の宇宙時間

いまや、宇宙旅行も夢ではなくなった。といっても、大気圏外に数時間滞在して我らが地球を拝むだけで、何百万円もの旅費が必要というから、今生では縁がなさそうだ。
  いまや、宇宙旅行も夢ではなくなった。といっても、大気圏外に数時間滞在して我らが地球を拝むだけで、何百万円もの旅費が必要というから、今生では縁がなさそうだ。

  でも、ロケットでの宇宙体験はできなくとも、「百姓から宇宙へ」という手もある? そう、大分の百姓・赤峰勝人さんは、ニンジン畑から宇宙へ飛んだのである。

  著書『ニンジンから宇宙へ』によると、赤峰さんは無農薬・無化学肥料の野菜づくりに永年取り組み、ついにニンジン(地球生命)と一体となった。つまり、その畑から宇宙とつながったのだ。

ニンジン宇宙

「私はその日、一人でニンジン畑にいました。ちょうど、間引いた一本のニンジンを見つめていた時のことです。
  その瞬間、それこそすべてのことが、本当に理解できたのです。
『宇宙に存在するすべてのものは、循環している』」(同書プロローグより)

  これは、いわば禅的「大悟」の瞬間である。永年ひとつのことに打ち込んでいると、「開眼の瞬間」がおとずれる。赤峰さんの場合、土(地球)から抜いたばかりの一本のニンジンから宇宙意識にストンとつながった。感動のあまり、畑という宇宙で半日泣きつづけたという。カボチャでもなく、ナスやきゅうりでもなく、大地のロケットをイメージさせるニンジンだったというのが面白い。

  百姓、から宇宙へ。

  この心境、百姓見習にすぎないオイラにもなんとなくわかるのだ。赤峰さんのような大悟はないにしても、日々成長する野菜を眺めながら畑仕事をしていると、何もかも忘れて無心になれる。大汗を流した後の、収穫の喜びもある。野良仕事の後の、ビールがまたうまい!

  自分がつくったその作物は、じつは自作ではなく、大地と太陽、雨や風との合作なのだ。だから、おもうようにいかないし、失敗も多い。虫食いだらけのキャベツを見ても、それはそれでおもしろい。今年は、もう少し、畑の宇宙時間を増やすことにしよう。