本当に危ないの? 有機野菜

有機農業に対する誤解
  最近、有機農産物が市場でも広がるにつれ、有機農業に対する攻撃的な見解もよく聞かれるようになった。有機農業は戦前日本にあった伝統農業に帰る行為であり、昔の寄生虫の問題がまた起こる可能性があるとか、有機農業は非効率で実践性に薄いなど、国内外で新たに生まれつつある有機農業の技術的な動向や研究を無視し、調べもしないで有機農業を批判することに腹立たしさを感ずることがある。
 

至極まともな内容 
   先日、書店で「本当は危ない有機野菜」(徳間書店/著者:松下一郎+エコ農業のウソを告発する会)というのを発見し、ムカムカしながら思わず購入して読んだ。以前から有機農業を批判している本があることは聞いていたので、どんな内容か気にはなっていた。
どんなウソが書かれているのかと思って読んだら、期待はずれで?至極まともなことが書かれているので驚いた。著者は有機農業そのものを非難しているわけでなく、内容は未熟な堆肥や生の家畜糞を大量に使用している有機農家とそれを野放しにしている有機JAS法やリサイクル法、有機農業推進法に対しての警告であった。 

食品の輸入は同時に有機物の輸入
  日本人は伝統的な食生活から肉食中心の食生活に移行し、大量の飼料を輸入し大型の工場的な畜産を進めてきた。不自然な大型畜舎ではストレスがたまった家畜に多量の薬剤が使用されている。抵抗力のない家畜は鳥インフルエンザを始めさまざまな病気の原因にもなっており、このような化学物質やカビ毒、寄生虫や病原菌を含む家畜糞を生または未完熟のまま畑で使用するのは危険である。また、安い家畜糞を大量に畑や田んぼに撒けば、過剰な栄養素が環境中にも放出され、有機農産物であっても窒素過剰になり、安全性が損なわれるばかりか河川や海の富栄養化を進め、環境汚染を広げることになる。
食品の輸入は同時に有機物の輸入であり、日本はこのまま食品の輸入を続ければ富栄養化が進み、ますます水を汚染され、新たな病気を生み出す危険性もある。大型畜産の糞尿の堆肥にして畑や田んぼに撒けば解決する問題ではなく、リサイクル法は日本国内の環境問題の根本を理解していない。有機農業であっても土壌のバランスを考え施肥をする必要があり、やみくもに有機物を田畑に投入することは非常に危険であるなど、読めば読むほどうなずける内容である。

堆肥や有機肥料は必ず発酵したものを使用
  有機農業を勉強する中で、発酵の必要性を感じ、堆肥や有機肥料は必ず発酵したものを使用してきたが、有機農家の中には家畜糞を生または未完熟のまま使用している人も多く疑問に思ってきた。できた農産物の評価は同じなので、労力とお金をかけて発酵技術を進めるのはあほらしく感じることもあった。しかしこの本を読んだら、やはり有機農業の根本はきちっと発酵した肥料を使用する、炭素率の高い植物性の有機物を増やすこと、土壌のバランスを知り適正量の有機肥料を使用することが本当に環境を守ることになることを知り、自分のやってきた方向性も間違いがなかったことを確信した。

(市有研便り 2009年9月号より )