但馬の調査報告 七夕豆

七夕豆は市場からは淘汰され、熱心な家庭菜園家のみで生き残ったまさしく在来種だ。(.ひょうご在来種保存会 通信16 号)より


2012年9月1日(土)、出石神社で「小野芋」の中村さん、有機農業の寺田さん、ジーオの長井さん、山根さんと集合し調査に向う。
七夕豆最初に訪問したのは井上久子さん(79歳)。特別自慢するような感じでもなく、普通においしい豆なので自家採種で5~6年ほど前から栽培しているという。
この豆は七夕の頃に播種するので、七夕豆といわれている。収穫時期は9月中旬以降で降霜の頃まで収穫するらしい。7月23日に播種したという話で、普通よりやや遅く播いたようだ。残っている種を見せてもらったところ、普通のインゲン豆より少し楕円形に近く、種皮色は白であった。家庭菜園を見せてもらったが、花は咲いておらず莢もまだ着いていない。同行した寺田さんも30年ほど前から知っているというので、この地域でかなり古いものであることは確かなようだ。
次に、三木怜さん(64歳)を訪ねる。三木さんは「伊佐屋の三木」というブログを立ち上げていて、家庭菜園、山歩き、ランニング、たじまふるさと研究、市民活動などを趣味とされる活動的な方である。
家庭菜園とはいえ結構広く、きちんと管理された美しい畑だ。その中で人の背より高いインゲンがあった。やはり、花もなく莢が全く着いていない。これから開花して莢が着くということであるが、それにしても葉が多過ぎる。親の代からこの地で栽培されていたらしく、集落内で5軒ほど栽培者があるという。
どんな豆かとお訊きすると莢の長さは7~8センチ程度で、平莢で、色は淡い緑色。やはり、七夕の頃に播種するのでこの名前が付いているが、それにしては収穫時期が遅くて短い。なぜ、こんな莢着きが悪い品種を栽培するのかと尋ねると「おいしいから」と明快。でも、一時しか出ないから販売には不向き。直売所などでは播種後早く収穫できる品種が栽培される。
おそらく七夕豆は短日性の品種で、日の長さ短くならないと花が咲かないのだろう。普通の品種は感温性なので一定の温度に到達すれば開花する。したがって、夏~秋までいつでも収穫できる。七夕豆は市場からは淘汰され、熱心な家庭菜園家のみで生き残ったまさしく在来種だ。栽培されている地域は但馬の西のようであるが、栽培範囲、ルーツや栽培者数は全く不明。人伝に栽培し始めている方もいて、更なる詳細調査を続ける必要がある。保存会世話人 小林 保
 
                                                                          ひょうご在来種保存会 (通信16 号)より