日本の農薬使用量は先進国トップ

農薬使用の国際比較を見ると日本の農産物に対する農薬使用量は

OECD2002年調査で米国の7倍、フランスの2.5倍、韓国を抜かして先進国トップに君臨します。

水稲20回、キャベツ13回~25回、ブロッコリー20回、ハクサイ10回~20回、
レタス20回、トマト28回~32回、胡瓜20回~38回、青ネギ10回~29回、玉葱9回~21回、大根14回~26回、人参6回~20回、水菜12回、ピーマン12回~33回。
何の回数かわかりますか?これは兵庫県の一般農産物にかけられる農薬の平均回数です。その中身はダコニール1000、ヘルシード乳剤、スミチオン乳剤、ジョキニーフロアフル、クリンチME液剤、スターク粒剤・・・聞いたことのない農薬の名前が並びます。

実は今年から私は兵庫県のひょうご食品認証農産物審査会の農産物審査委員に任命されました。兵庫県では農薬・化学肥料の使用回数を減らすために「ひょうご安心ブランド」を立ち上げ、審査基準を満たす農産物を認定しマークを貼って販売すること勧めています。認定農産物は農薬・化学肥料を半分に減らした「ひょうご安心ブランド」マークの他に、30%減らした「ひょうご推奨ブランド」という表示もあります。上の回数でわかりますが、農産物には大量の農薬が使用されています。スーパーで見かける芸術品のように美しい農産物はたっぷりかかっているわけです。

20数回かけて作っていた農産物を、まったくゼロにすることは至難の業です。化学物質を減らすと農産物は虫食いだらけ、形がいびつになり、虫の害による劣化、品質低下につながります。つるつるに化学物質で輝き、不自然に同じ形、大きさの農産物に慣れ、虫などが付着していると受け入れがたいと考えている都会の消費者からの苦情にも対応できないでしょう。

芸術品のような農産物が環境汚染を引き起こす
できるだけ農薬・化学肥料を低減する方向で考えられたのが「安心・推奨ブランド」です。審査会は10月5日に開催されました。前回は出荷日に重なり出席できなかったので今回は初めての出席になりました。審査委員は神戸大学農学部の伊藤先生を始め、コープ神戸の消費者理事、JA兵庫、神戸青果部長と兵庫県有機農業研究会から私が出席しました。
今まで有機農業に取り組み、農薬化学肥料とは無縁だったので、県全体の一般農家の実態をほとんど知らず、これほどの量が使用されているのを初めて知り唖然としました。一般の農家にとって農薬をたとえ3割でも減らすことがどんなに大変なことなのか、何故有機農業が広がらないのか本当によく理解できました。しかし、通常20数回使用されている農薬を市有研のメンバーはまったく使用せずに実践してきたわけです。

農業専門家が日本の農産物は非常に品質がよく世界に誇る技術力も高く、輸出も可能だと主張しているのをテレビで見たことがあります。ところが、農薬使用の国際比較を見ると日本の農産物に対する農薬使用量はOECD2002年調査で米国の7倍、フランスの2.5倍、韓国を抜かして先進国トップに君臨します。農薬・化学肥料漬けの農産物、見た目は世界トップかもしれないが中身は世界最低ではないか。確かに日本は高温多湿で虫や病気の害が多く、農薬の使用量が多いのもやむを得ないのかもしれない。しかし日本人の異常ともいえる商品に対する神経質さが芸術品のような農産物を生み出し、同時にこれが環境汚染を引き起こします。

北半球のハチの4分の1が消滅した
最近気になっているのはネオニコチノイド系の農薬です。これは新しい農薬で、虫に対する効果が非常に長いので農薬の回数を減らすことができます。しかし、長く効果があるということは逆に恐ろしい結果を生みます。フランスでは最高裁の決定でネオニコチノイド系の農薬の使用は法的に禁止されていま。人間のみならず、ハチに多大の影響があり、ネオニコチノイド農薬を使用した農産物の花粉によって北半球のハチの4分の1が消滅したと言われています。関東では日本有機農業研究会の集まりでも大きな話題になっているのに、関西では誰も認識がないようで不思議です。(橋本慎司)

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