いつの間にか、草はひとりでに生え

草はひとりでに生える。昔、そんなタイトルの本を読んだ。たしかタオイズム?がテーマの本だったと思うが、炎天下の草刈りに追われながら、「ったく、草は勝手に生えてくれるなぁ・・」とぼやくのだった。

田舎暮らしの税金みたいなものだが
つい先週、草刈り機で丸坊主にした土手の草が、もうこんなに。庭の草も、畑の畝の草も、もうこんなに・・・ということで、いまは夏草刈りに追われどうしだ。そんなときに、集落のお葬式があり、この春から「組長」にさせられたぼくは、葬儀委員長に。この村ではその役柄を「見配」(けんぱい)と呼ぶ。全体を見回し、指示したりする監督さんというわけだ。
野上野の集落は13組あり、ぼくのところは1組で14世帯。先月、となりの2組でお葬式があり、そのときは見配をサポートする外見配(そとけんぱい)という役目(副委員長)をおおせつかった。葬儀があると、見配も外見配もその準備から精進上げまでまるまる2日間拘束される。普段、背広を着ることはあまりなく、ましてネクタイはしないから、オールシーズン用の喪服とネクタイが暑いのなんのって! 
「葬儀の付き合いは、田舎暮らしの税金みたいなものだから」とある知人は笑って言ったが、それは十分納得できる。が、それにしても・・・と、思わずため息が漏れてしまう。

いつの間にかスイカは熟れすぎてヒビ割れ
村の葬儀には1~2組から二十数人が、それぞれの役をあてがわれる。書きもの、香典場の受付、テント張り、祭壇、交通整理、接待、買い物役などだ。葬儀会場は村のお寺。見配役のぼくは、お坊さん(導師、役僧)へのお布施を持って、かしこまった挨拶にいく。この年になって、なにもかも生まれて初めての経験であり、「平野はん、勉強になったやろ」と村人に言われたら、「はぁ、そうですね」と笑って応えるしかないが、2年間の任期中に見配や外見配を何回することになるのかと思うと、またため息。ある村人(前組長)は、「わしのときは5回やった」と言っていたなぁ・・・。
いつの間にか猛暑は本番となり、“熱くなれ”をキャッチにした阪神タイガースはいっこうに「熱くならず」、ナイターを観ればストレスがたまる。とにかくこの2週間、草刈りや葬儀に追われているうちに、いつの間にか畑のスイカは熟れすぎてヒビ割れ、いつの間にかピーナツの花が咲き、いつの間のかお米の花も咲きはじめていた。
そして今日も朝から、黒豆畑にひとりでに生える草刈り作業。 (村長 平野)

※トップの写真はピーナツの花