高野渚  ネパール・シイタケ栽培レポート2

シイタケ栽培普及の目的
「任地について」で述べた通り沿線上以外の地域では、農村から人が流出し耕作放棄地が増えていく可能性がある(辻井先生のレポート参照)。


農村部の人口流出を抑えるために農村での所得向上を目的として、任地のきれいな空気・豊富な水・傾斜地・原木を生かしたシイタケ栽培を普及させ、現金収入に繋げる販路の確保を行う。

『ヒマラヤ山麓万枚田調査ノート』 5    辻井 博

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シイタケ栽培を選んだ理由
シイタケ栽培を選んだ理由は、ネパールではこの約10年間でシイタケ栽培が普及され始め、現在高価格で取引され今後の需要も伸びる見込みがあること、任地の気候や土地の条件がシイタケ栽培に適していること、他隊員との連携がとりやすかったためである。配属先の活動にシイタケ栽培のプログラムはなかったが、配属先もシイタケ栽培の可能性を見出し新年度より新しくシイタケ栽培の普及に乗り出すことが決定した。

ネパールのシイタケ事情
シイタケは現在ネパールでは高価格で取引されている。例えば1kgの野菜を比較すると、トマト・ナスは40ルピー前後、キャベツは50ルピー前後、ヒラタケは150ルピー前後、マンゴーは100ルピー前後に対し、生シイタケは800ルピーで取引されている。参考までに卸売価格はどの青果も市場価格よりおよそ10-50%安い。
シイタケの販売先はスーパーマーケット、日本食レストラン、日本関係オフィス、オーガニックマーケットである。生シイタケはすべてがネパール産で1kg800ルピー、乾燥シイタケはタイ産が1kg2000ルピー前後、ネパール産が1kg5000ルピーである。乾燥シイタケは生産場所によって約2倍値段が違う。乾燥シイタケの主な生産国はタイで、最近ネパール産のものが出荷されつつある。

原木栽培だから美味しい
一度、ネパール産とタイ産の乾燥シイタケを食べ比べてみると、ネパール産の方がとてもおいしかった。理由は、市場に出回っているネパール産のシイタケは全て原木栽培だからである。生シイタケも肉厚で醤油をほんの少したらして焼いて食べてみると、これもまた絶品!海外に暮らす日本人にとってはとても貴重なおいしい味に感じられる。
シイタケの主な購入対象は外国人やレストラン、ホテルで、ネパールの一般の人はほとんど食べたことがない。ある日本食レストランの仕入れ担当者と1度話した時、生シイタケなら高くても購入すると話していた。価格的な面からしてもネパ―ルの地元消費は難しいが、日本食レストランや中華料理レストランを対象に需要の増加は見込める。

 シイタケの原木
ネパールではしいたけ栽培にウッティス(ネパールハンノキ)を用いることが多い。この木はネパールの高度1200m以上の土地でよく見かける、手に入れやすい木である。


歴史は浅い

ネパールのシイタケ栽培の歴史はまだ浅く、まだまだこれから需要・供給共に伸びる可能性が高い。これまでに調査した限り生産農家数はネパール全土で少なくとも10件以上存在する。そのうち3件の農家と直接会ったことがある。現在のシイタケ生産農家の多くはNGOや企業家等の比較的裕福な人々である。
 

品種は日本でおなじみの「にく丸」
シイタケ栽培に必要な物資は全てネパールで手に入る。栽培されている主な品種は日本でおなじみの「にく丸」ことmori290である(この品種がどのようにネパールに入ってきたかは不明)。シイタケ種菌の製造販売会社は現在1件だが、現在シイタケ種菌の試験段階の種菌製造会社が2件ある。種菌製造に関してはコンタミネーションが多く決して質が良いとは言えないが、競争会社が増えることによって質の向上が期待できる。



モデル地域の選定

また、大量のきれいな水が手に入り1500m前後の高地である任地は比較的シイタケ栽培に適している。このシイタケ栽培の普及活動は現地INGOの協力を得、カルタリ及びピスカル(上地図参照)にて行うことに決定した。この2地域は幹線道路よりバスで1時間から2時間かかる。出稼ぎが多いが、現地INGOの活動により生活の質は向上しつつある。この2地域をモデル地域とし、シイタケの試験栽培を行う。