家族や社員とアイガモの進水式に

大阪を中心に「お弁当物語」という弁当屋チェーンとレストランを経営する(株)ミレニアムダイニング。社長をはじめ家族、社員のみなさんが藤田農園のアイガモの進水式に訪れました。


「メッチャ贅沢ですよねぇ」

社長の重森貴弘さんは、「食の原点はやっぱり農業です」と嬉しいことを言ってくれます。この春、藤田農園のアイガモ米づくりを少しでも学ぼうと、1反の丹波カルデン・オーナーになってくれました。 
その田んぼは、福知山市郊外の姫髪山麓にある棚田。景観は素晴らしいけれど、傾斜のきついところにあるので草刈りからして大変。しかも藤田農園は肥料をいっさい使わない自然農法なので収量は慣行農法の6~7割(300kgほど)。この棚田オーナーになるのは、普通のお米を買うことを考えたらかなりの割高です。
「それでもいいですよ。その代り家族や社員に農体験や食育研修をさせてください」と重森さん。
5月19日。快晴で少し暑いくらいの陽気。重森さんの家族と会社関係の家族10名が、初めてこの棚田を訪れました。棚田に行く前に、丹波カルデン実験農場で収穫体験。まだ収穫には少し早いけれど、玉ねぎ、グリーンピース、ソラマメ、じゃがいもなどを採ってもらいました。その後、すぐそばにあるスーパー「ココモ」でやきそばなどの食材を買い物して、現地に着いたのはちょうどお昼頃。
藤田さんが、生まれてまもない70羽ほどのアイガモを田んぼに放つと、大人も子供も「わー、かわいい」と歓声しきり。ヒナはまだよちよち歩きながら、田んぼに入ると水をえた魚のように泳ぎだしました。
アイガモ進水式のあとは、さっそく手分けしてバーベキューの準備にかかり、用意した地鶏は大人気。また、玉ねぎやジャガイモ、ソラマメなどをアルミホイルで包んで蒸し焼きすると、「甘~い」、「絶品や」「旬の味、素材の味やなぁ」「何もつけなくても、おいしいわ」といった感嘆の声がさかんにあがります。バーベキューといえば、とかく「何とかのタレ」となりますが、味付けは天然の塩だけ。
焼きそばの具は玉ねぎにグリーンピースにもやし(これだけは買った)だけですが、まず村長がつくり、これもまた「おいしい、おいしい」の連続。
「平野さん、毎日こんなにおいしいもの食べているんですかぁ。メッチャ贅沢ですよねぇ。この時間の流れも贅沢やし・・・」と笑いながら重森さん。 
「そう、貧乏だけど、旬のものばかり食べて贅沢してるね」
「野菜は買わないんですか」
「畑に野菜がないときは、仕方ないから少しは買うけど、ほとんど買うことないね。買うのが悔しいと思うもの。でもね、お金のことを言えば、野菜は買ったほうが安上がりだよ。農業って何だかんだと金かかるし、人件費まで計算に入れたら、スーパーの何倍もする野菜を食べていることになるね。それでも楽しいから止められない」
「へぇ、そんなもんですか」
こんな会話をしながら約2時間。この後は丹波市内にもどり、子どもたちのために日が奥渓谷に行って水遊び。日差しは暑くなっているといっても、渓流はまだ雪解け水のような冷たさでした。

次は、社員研修と福利厚生をかねて
5月22日(火)、こんどは7名の社員さんたちを引き連れてきました。プログラム内容は前回とほぼ同じですが、社員研修の意味合いもあるだろうからと、いくつかのメニューを加えました。野花農園の田んぼで「せり摘み」、我が家の前の梨園(まだ小さい梨の実に瓶をかぶせているというので)見学、スィーツの「やながわ」で重森さんは柳川社長と名刺交換して少し対話するなど。
丹波カルデン実験農場では、採ったソラマメやグリーンピースを生で食べて、その甘さに感激していました。畝の野菜を指して「これ、なんでしょう」と若い社員たちに質問すると、花をつけたじゃがいもはさすがに答えが返ってきたけれど、スィートコーンと正解した人はひとりもいません。まだ20センチほどの苗だから無理もないのかなと思いましたが、それにしても都会に住む人たちは、畑になる野菜の名前を知らない人が多すぎますね。食に携わる人がそれでは残念なこと。だからこうして社員を連れてきてくれたわけです。
棚田に向かう途中、2年前に市島町にできたワタミの弁当工場をちらっと見学。この工場で一日2万食の弁当をつくり、尼崎の物流センターに運んでいます。
「居酒屋のほうが難しくなっていることもあり、ワタミはいますごい勢いでデリバリーの弁当事業を伸ばしていますよ。うちも将来、こういう方向を目指していますが、まず物流システムをクリアしないとこの事業は成功しない。だから今その問題に取り組んでいます」
先日、重森さんはそんなことを言っていたからだ。
ワタミの弁当工場を見て重森さんは、「すごいですね」と一言。いろいろと思うことがあるのでしょうが、彼はまだ若い(42歳)しパワーもあるし、人間的にもなかなかの人物だから、きっと事業を大きく育てるでしょう。その流れのなかで農業にも参入したらよいと期待しています。そういう意味で、丹波カルデンのオーナーにもなってもらっているわけです。
この日は、バーベキューが終わる3時までお付き合いして別れましたが、この後みなさんは藤田農園の拠点に移動。藤田さんの報告によると、アイガモを守るネットを張る作業を「どろどろになって2時間ほど手伝ってくれた」そうです。福知山温泉に行って7時過ぎには大阪にもどる予定と聞いていましたが、さて、どうなりましたやら・・・。
企業に対する丹波カルデンの売りは社員研修(食育)と福利厚生。ですから、観光ツアーの延長のような「いいとこ取りだけの収穫体験」だけではなく、季節ごとに何度でも汗をかく農体験(作業)してほしいものです。
重森さんは26日(土)にも社員を連れてきますが、あいにく私の都合がつかず、丹波カルデンには自由に入ってもらいます。                                   村長 平野