薪ストーブのある暮らし(1) 本庄晴三さん宅

冬が来るのが楽しみになった 
本庄晴三さん宅(丹波市氷上町上新庄)

「うぁ~、すごい。こんなにブットイ薪、この大きさのままストーブに入れるんですかぁ?」 
思わず口に出た第一声。


ダッチウエストのエクストララージFA285

本庄晴三さん宅の裏庭に軽トラを乗り入れると、右手に納屋がある。その一画に薪が高々と積み上げてあった。しかも太くて長い。我が家の薪ストーブでは縦横半分に切らないと入らない。
本庄さんは、私の驚嘆に気をよくしてか、「ここにもある、あそこにも」と、“薪の貯蓄ぶり”を披露した。わかるなぁ、そのお気持。
「3年分はあるかな。でも、木はすべて落葉樹の固木ですが、乾燥しすぎるとすぐ燃えてしまう。乾燥は1年ぐらいがちょうどいい」
「そうですね。それにしても、うらやましいばかりの薪小屋ですね」と、しばらくは外で薪談義となった。
本庄さんが薪ストーブを設置したのは4年前、母屋と居間をリフォームするさいに思いきって導入を決めた。裏庭から居間に上がるとすぐ右端に薪ストーブが据えてある。大きくて立派、デザインもしゃれている。薪は左サイドから入れると、前や横のドアを開けて見せてくれた。たしかにすごい火力だが、太い薪を1本入れておけば3~4時間は持つというから、燃費効率もかなりのもの。製品・機種名を訊ねると、本庄さんは「ダッチウエスト」というだけで、機種は覚えていなかった。
「これだったかな。ダッチというからドイツ製かな? 」とカタログを出して言いながら、
「機種の選定は、さんたんの森脇さんに100%任せた。仕事の関係でよく知っていたし信頼できる人やから」と、いたって大らかな返事。
のちに「さんたんの森脇さん」に電話で確認したところ、ダッチウエストのエクストララージFA285、という機種だった。アメリカはケンタッキー州パリスに本社があるMHSC社という、北米最大のハースメーカーの製品。

癒しと自給自足の贅沢を味わう
本庄宅の1階居間の広さは20畳、2階に8畳と6畳の寝室がある。階段は細長い居間の奥にあるが、暖気は上にのぼるから2階も十分ぬくもる。
11月上旬から4月中ごろまで薪を焚き、その間は一日中火をたやすことはない。寝る前にも太い薪を1本入れておけば朝まで置き火が残っている。起きてすぐに薪を加えるから点火用の細枝は要らないのだという。冬の丹波の底冷えから解放され、乾きの悪い洗濯物もよく乾くしで、奥さんも子どもたち(4人)も大喜びだ。
「暖房はこれだけ。6畳の台所まで部屋全体がやわらかく温もるから、ほかに一切必要ない。石油ストーブなんか臭くてアカン。近所の人らとここで一杯やるんですが、薪ストーブの火は癒されるなぁと、みなさん言いますよ。ソファーに座ってテレビを見たり、昼寝したりするのが最高やね。息子たちもたまに家に帰るとこの居間から離れませんわ」と満足そうに笑う。
ちなみにカタログの説明によると、  
「最大熱出力13,900kcal/時を誇り、最大暖房面積も216㎡と実に130畳以上の室内を暖めることができる」とある。
FA285のお値段はというと、施工費も含めて80万円ほど。
「周りのレンガ積みや土台づくりは私がやった。元は十分とりもどしましたよ。こんな贅沢はないんだからと、私は誰かれなく奨めるけど、薪を作るのがシンドイと言ってね。私らの子ども時分は薪風呂だったから年中薪作りに追われていた。でも、薪ストーブは冬だけやから、薪づくりもまた楽しみなんですよ」
「そうそう」と私は相槌を打つ。
 定年退職(平成15年)してから9反ほど米作りをしているが、時間は十分ある。家の近くに森林組合があり、そこに務める知人や近所から薪情報をもらえるという。
「この木を伐ってやと言われたりすると、わかった、今は間にあっている。予約しておくから、勝手に伐り倒したらアカンと言っておくんです」
こうして暖房(薪)は自給自足。本庄家のように、シーズンの間焚き続ける薪を買っていたら30~40万円、いや、もっとかかるかもしれない。その暖房費をかせいでいると思えば、薪づくりがなおさら楽しい。そして薪小屋に隙間が出てくると何となく不安になり、薪を満タンにして充実感に浸る。冬仕度で年に1度のエントツ掃除も自分でする。生活にリズムとやりがいも生まれる。
「薪ストーブを入れてからは冬が来るのが楽しみになった。誰もが薪の心配をしますが、癒される贅沢と楽しさを味わってほしいけどなぁ・・・」
都会ではなかなか味わえない田舎暮らしの醍醐味である。
(2012.3.6 取材 平野)

■ 情報提供:薪ストーブさんたん  http://www.makistove-santan.jp/