雪の日に贅沢な時間をすごす

五観の偈を唱えれば
 昨夜遅く、舞鶴若狭道を帰る途中、篠山あたりから吹雪だした。篠山ICでは、タイヤの検門があった。篠山から丹波に入るトンネルを出たところで猛吹雪。

そこは急傾斜の下りなので、吹き上げる吹雪で暗い道路が見えにくい。ガードレールの下は崖、徐行しないと車輪をとられそうだ。
翌朝、積雪は20~30センチ、近年の丹波にしたら大雪の部類だ。でも豊岡では30年ぶりの豪雪で1メートル積もったというし、北陸や東北に比べたら知れている。
冬は冬らしく、白銀世界はいいものだ。まだ車の輪立ちのない新雪道を、あけぼの坐禅会(最明寺、丹波市市島町南)に向かう。今日は欠席が多いだろうと予測していたけれど、それでも9名。
「欠席の電話が7人ありました。残念ですが、ようお出でくださいました」と住職。
午前中に一坐を終えたところで帰るつもりでいたが、結局、午後の3時まで居残った。坐禅を半日したからといって何かが解決するわけでもないが(あぁ、悩み多き我が人生よ!)、こんな贅沢な時間はない」と思いつつ・・・。
禅宗(曹洞宗)では、食前に必ず次の「五観の偈」を唱える。
一つには、功の多少を計り彼(か)の来処(らいしょ)を量(はか)る。
二つには、 己が徳行(とくぎょう)の全欠を忖(はか)って供(く)に応ず。
三つには、心を防ぎ過(とが)を離るることは貪等(とんとう)を宗(しゅう)とす。
四つには、 正に良薬を事とすることは形枯(ぎょうこ)を療(りょう)ぜんが為なり。
五つには、成道(じょうどう)の為の故に今この食(じき)を受く。

訳文
一、この食事がどうしてできたかを考え、食事が調うまでの多くの人々の働きに感謝をいたします。
二、自分の行いが、この食を頂くに価するものであるかどうかを反省します。
三、心を正しく保ち、あやまった行いを避けるために、貪など三つの過ちを持たないことを誓います。
四、食とは良薬なのであり、身体をやしない、正しい健康を得るために頂くのです。
五、今この食事を頂くのは、己の道を成し遂げるためです。

 久しくグルメ大国の日本では、捨てる残飯の量がはんぱじゃない。アフリカの飢餓民を救えるほどだという。近年、「食育イベント」もさかんになっているが、各家庭で日々この思い(特に、一と四の思い)で食事をしていたら、日本の食糧自給率も大幅に(たぶん20%ほども)アップするだろうと思う。 
しんしんと降っていた雪は止みそうで、雲間に青空と太陽がのぞいている。何か発句でもと思ったけれど、頭のなかも真っ白で言葉が出てこない。
釈迦の涅槃軸と達磨絵を眺めつザンゲする・・・ そんな心境だったのだが。

冬籠また寄り添わん此の柱    (芭蕉)
なんとも枯淡な味のある。きっと芭蕉も冬が好きだったんでしょう。
 
※最明寺の坐禅会は毎月第3土曜日(10:00~15:00)
電話して参加を申し込んでください。
(0795)85-1415