予告 『ヒマラヤ山麓万枚田調査ノート』連載

辻井博先生の「ネパールの棚田調査ノート」連載にあたり

 辻井博先生との出会いはもう十年以上前になる。
当時私は西宮に住み、姫路の郊外の畑の近くに宿泊できるインディアンテントを建て、週末農業に通っていた。

 ある日、たまたま観た「農業」をテーマにしたNHKの討論番組に、辻井先生がパネリストとして出演されており、「食料自給率や農業の在り方について」私は先生の意見に全面的に賛同したのだった。私はさっそく京都大学の教授だった先生に電話をして、京都でお会いすることになった。たしか農業に関する子供向けの本を書きませんかといった用件だったと思うが、その話はいつしか絶ち消えとなってしまった。
その後、年賀状のやり取りだけになっていたが、今年の年賀状には「ネパールの棚田を見てきました」といったことが書いてあった。この1年で石川県立大学も退官する、とも書いてある。あぁ・・・光陰矢のごとし! そこで先生にすぐ電話を入れ、田舎元気本舗のホームページ改訂の趣旨を説明し、その新たなメニューのひとつ「食農の海外事情」への原稿を依頼したのである。
「原稿料は丹波の農産物で」と言うと、「どうせ書かないといけない原稿ですから、何も要りませんよ。それより今度、中国の雲南省の万棚田を見にいきましょう!」と先生は元気に笑いながら言った。そして待つこと10日余り、美しくも懐かしいネパールの山々の写真とともに原稿がメールで送られてきた。その原稿に書いてあるポカラでトレッキングしたのはかれこれ30年前のこと。ヒマラヤの霊峰マチャプチュレ・・・辻井先生の原稿を読みながらしみじみと思い出した。(村長 平野)

写真提供:辻井先生

辻井博先生のプロフィール

京都大学農学部農林経済学科卒業
イリノイ大学大学院農業経済専攻博士号、修士号取得
京都大学大学院農学研究科教授
京都大学名誉教授
在米、国際食糧政策研究所(IFPRI)上級研究員
京都大学東南アジア研究センターバンコク事務所所長
日本農業経済学会名誉会員
石川県立大学教授

『ヒマラヤ山麓万枚田調査ノート』 1