お寺で時間どろぼうの話

春風亭空太郎です!正法寺

 9月25日(日)昼過ぎ、隣町・市島町にある正法寺(曹洞宗)で話をさせてもらった(一カ月ほど前、面識のないご住職から突然の電話で依頼があった)。この日は秋の法要で、檀家さんたちが30、40名。
 冒頭にいきなり、春風亭空太郎ですと名乗り、落語の一節をぶちあげて爆笑をとった。
 出だしはまぁ成功だ。
 「今日、野上野の中央公民館では敬老の日のお祝いで、どこから湧いてきたのかと思えるほど大勢集まっていました。みなさんはお見受けしたところ、まだだいぶ先のようですね。私より若い! 平均年齢40050歳というところですか」
 そんな見え透いた挨拶をすると、また笑ってくれた。これで話しやすくなった。

BOOK紹介

「モモ」

ミヒャエル・エンデ

たったの25億2,560万秒

 おそらく平均70歳ほどの人生の先輩たちに、いったどんな話をしたものかと前日から思案していたが、ちょうど読んでいた本『モモ』(ミヒャエル・エンデ著)の話をしようと決めていた。時間貯蓄銀行の時間どろぼうの物語である。
人生80年は、秒にするとどれくらいあるのか。たったの25億2,560万秒しかない。時間どろぼうは、「1日2時間、銀行に預けると、5年間で2倍になってもどってくる」と嘘を言って、町中の人々に時間貯蓄をすすめていく。これを信じた人々は、余暇や趣味を楽しんだりするのをやめて、時間を切り詰めて忙しく働きつづけるようになる。町中がそんな人ばかりになって、人々の顔から笑顔が消え、人間関係もぎくしゃくしはじめる。
しかしやがて、天真爛漫で春風のような孤児の少女モモが、盗んだ時間を食べて生きる時間どろぼうと闘って、灰色になった人々の生活を元のように取り戻すといった物語だ。

時間どろぼうたちがいない田舎暮らし

 『田舎は最高』という本を出版したのは4年ほど前。そのタイトルどおり、時間どろぼうたちがいない田舎暮らしは最高だ。でも7年も暮らすと、何となくマンネリ感が出てきたのも事実。今年は春につくしを摘まなかったし、蛍の乱舞も見にいかなかった(家の近くに飛んでいるし)。山にのぼる名月を愛でることもない。朝、小鳥の声にも感動が薄れている(マズイことだが)。
人生の先輩たちを前にして、釈迦に説法とならないよう、こうした自分の気持ちの変化を話しながら、時間とは、ほんとうの豊かさとは・・・といった話をした。自戒をこめたつもりの話だったが、途中で『桜沢如一 100年の夢』を挿入したのは、まずかったかも。40分ほどの短い時間で消化不良になってしまったが、「お話、とてもよかったです」とご住職に言われ、お世辞にしても救われた。
 家に帰って妻に報告すると、「またぁ、あの落語をやったの」と呆れられた。(2011.10.1 村長)