マツタケ山のふもとで夢見る

台風一過の朝に  s-マツタケ2.jpg

 9月23日の祝日は、台風一過の秋晴れ。朝、いつものようにコーヒーを入れながら、さて今日は畑作業をと思っていたら、
「今日は草刈りの日よ」  妻がカレンダーを指さして言った。朝8時から集落の日役だった。15分前、慌てて着替え、草刈り機を軽トラにつんで家を飛び出した。

マツタケより卵のほうが高かった

 秋祭り(10月9日)のために、山車が練り歩く農道の草刈りを集落全体でする。約1時間半、背中にうっすらと汗がにじむ。
作業のあとは、缶ビールやお茶、つまみが出て、男たちの井戸端会議が小一時間。草刈りあとのビールは格別だ。
この日は、我が家のとなりにある小さな観音堂の縁に腰かけてしゃべっていた。近年の異常気象、台風の大雨、獣害のことなど、冗談まじりに話すことはだいたい同じだ。
「また、サツマイモが全滅。イノシシじゃない、アライグマや」「うちもやられてしもた。ぼくの小遣いはみんなホームセンターにもっていかれてしまう」「まったくね。苗や種代より、防除の費用のほうがよっぽど高くつく」
  マツタケシーズンになったので、その話も出た。
巨人・大鵬・卵焼きの時代のころまでは、「マツタケより卵のほうが高かった」
「弁当にいつもマツタケが入っていて。またかぁと、うんざりやった」
「昔はなぁ、この裏山でもナンボでも採れたで」
この裏山といえば、我が家の裏(北側)のことである。植林ヒノキの薄暗い森になっていて、土砂崩れの危険ゾーンになっていることを移住して数年後に知った。

 山からマツタケが降ってくる

 「デザートにマツタケを食べている丹波の鹿や猪は最高級品の肉やなぁ」 
そんな冗談が言われるほど、少なくなったマツタケが獣害でますます採れなくなっている。そして今や、この辺り(本場)のマツタケは1kg10万円以上(卸値)。とくにこの春日町のマツタケは昔から最高級品と言われ、丹波に暮らしていても口にできない(年に1度くらいおすそわけでもらうのは、形が崩れて商品にならないもの)。マツタケ山の入札は3年に1度おこなわれているが、私のような素人では入札したとこころで宝の持ち腐れだ。
近年は、マツタケ復活作戦をおこなっている集落もある。松くい虫防除のため年に一度、ヘリコプターで空中散布をしているけれど、「おじいさんは柴刈りに」といった生活にもどさないかぎり昔の山にはもどらないだろう。
それにしても、我が家の裏山でもマツタケがわんさか採れたとは・・・。その裏山が、続けざまの大雨の夜は、さすがに土砂崩れを想像して、
「まぁ、そのときは、そのときだ」と、寝ながら腹をくくる。
その代り、夢でもいいから、山からマツタケが降ってくる夢をみたいものだなぁ・・・ (2011.9.26 村長)