丹波黒さや大納言小豆復活記   柳田隆雄

妻とともに守る味、引き出す魅力
この「黒さや大納言小豆」と、10年以上向き合ってこられたのは妻のおかげです。

妻には、頭があがりません。単に蔭で支えてくれているというよりも、本当によくこの小豆のためを考えて、手もアタマもよく動かしてくれて、様々な料理や普及のアイディア、商品化にさえ努力してくれ
ました。小豆味噌なんていうのも、当初、難しい、できへんと言われたものを、何度も職人や研究者らとやりとりして、こうして今、小豆工房でお客さんに提供できるようになりました。
工房で小豆を使ったランチの店をやっても決して儲からへん。でも、この小豆の本当の美味しさを知ってもらいたい、という一念で楽しんでやってくれてます。最近では、私が面倒になりかけて、妻の方が熱心なくらいです(笑)。
これまで妻のおかげで私もさんざん好きにさしてもらいましたし、今こうして黒さやのことで一緒に打ち込んでくれるのもありがたい。感謝です。

「黒さや」が再発見された日のこと
きっかけは、なにげない一瞬の思いつきでした。
当時の人気番組、「どっちの料理ショー」のテレビ取材班が、農協の紹介で、丹波大納言小豆のルーツを訪ねて取材しにきました。ひとしきり、大納言小豆の由来についてインタビューにえた後、ふと母親が楽しみに作っていた小豆を思い出して言ったのです。美味しいから自家用に作り続けていた、さやが黒くなる小豆がある、と。
するとテレビの人たちは「そっちにしましょう」と、すっかり取材を乗り換えてしまった。そのとき、うちにあった黒さやの小豆は、一升瓶二本だけ。そのうちの一本を、テレビがどうしても、と持って帰って放送したところ(2000年)、大反響となって、一気に問い合わせが殺到しました。ところが、うちにあるのは残り一升だけでしたから、

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手のひらの宇宙「食と農と里山Vol.1」より
(あうん社 2014年11月11日発行)