台風前の静けさのなかで

庭の畑には虫一匹飛んでいない。鳥たちの声もしない。朝から空はどんより曇り、そよとの風もない。

台風前の静けさだ。し~んとした中で、蝉だけが思い出したように合唱を始める。

都会でのマンション暮らしのときは車や電車で出かけたりする用事でもなければ、台風情報なんてほとんど気にしなかった。どんな大型台風に対しても、当事者意識のようなものはまったくなかった。
でも田舎暮らしになると、雨風に敏感になる。もうすぐ実るコーン、まだしっかり根付いていない黒豆の苗がどうなるかと案じられる。昨年の5月には、ヒョウが降って田畑の大半が甚大な被害をこうむった地域がある。そのとき我が集落はかすり傷程度で済んだけれど、雲行き次第では我が集落のほうに来ていたわけで、当事者の思いは多少なりと共有できた。
しかし当事者意識というのは、文字通りのもので、そうなってみなければ実感としてわからない。
昨年ヒョウの被害を受けた農家のある人は、
「まぁ、こればっかりは、しゃあないわ」と笑って言った。百姓はこうでなくてはいけない。お天道さんには逆らいようがない、想定内の出来事として受け止めるしかないという心境だ。天変地異の多い我が国の、百姓のしぶとい根性ができあがった。

それにしても最近は、「早めに避難してください」と警戒を呼びかける丹波市の無線放送の多いこと。先ほど(夕方)もその放送があった。昨年夏、丹波市では100年来という土砂災害を被ったことから、市としては責任と義務感からも放送しておかないとマズイわけだ。
我が家の裏山は、土砂災害の危険地帯にあたる。そのことを知らず、この地が気に入って家を建てたのだから、「まぁ、そのときは、しゃあない」と祈りつつ、台風の過ぎるのを待っている。
いのち短い蝉たちは、台風が来ようが来まいが、人間の当事者意識などにもおかまいなしに鳴いている。 早くもヒグラシが鳴き、モクレンの花が狂い咲き(?)、レモンの花も再び咲きだした。猛烈に暑かったり、初秋の気配がしたり・・・とにかく奇妙な夏である。   (2015.7.16) 村長 平野

追記
昨年は20~30個の純国産レモンを収穫できて、おどろいた。寒い丹波でそんなに採れるの、と青垣町の知人もびっくり。この春も花が満開で、10数個は受粉したようだったが、すべて落果。2度咲の花から実はなるのか・・・かすかな期待。
只今、無線放送で、JR福知山線(篠山口~福知山)の運休のお知らせあり(PM7:30)。この台風11号、よほど大型なんだなぁ。引き続き12号も追っかけているとは・・・