炎を前に。 森脇伸也

1年のうち7ヶ月
なんでこんな仕事をしているのだろう?と入社当初は思うこともありました。

なんでこんな仕事をしているのだろう?と入社当初は思うこともありました。
高校・大学時代は都会へのあこがれはさほどないにしろ、ホワイトカラーに何となくあこがれ、将来にわたってそんな仕事をしているのだろうなと漠然とした未来があったのですが…。今や薪ストーブとその煙突の設置工事に汗を流すようになっております。
薪ストーブは冬の短期間が舞台と思いがちですが、毎年、田舎では、稲刈りが終わったあとの藁とそれを燃やす煙の臭いが秋風にのって鼻をかすめていく頃から秋祭りにさしかかるころになると、やや肌寒くなり、だんだんと火が恋しくなってきます。そして丹波の厳しい冬が訪れ、年を越えて3月に寒さも緩むとはいえ、桜の花びらを見ながらでも、日によってはちょっぴり暖房が欲しいと思う低温の夜もあり、よく考えれば、四季の4分の1の3ヶ月どころでなく、10月~4月まで7か月近くにわたって薪ストーブに頼っているのです。
また、冬が終わるころには、薪ストーブを愛する人は次のシーズン、またはそのまた先の年の薪づくりのために情報を集め、汗を流す季節へと変わっていきます。この時に汗をかける、薪割などの労苦を楽しみに変えることができる人が真の薪ストーブユーザーなのでしょうか。

炎の前でスローライフ
年齢を重ねるにつれ、一年の過ぎる速さにびっくりします。だからこそ、薪ストーブライフの「炎の前では少しだけ、人生スローになる」、そんな感覚をチョットでも味わいたいとも思います。
夏には冬の薪づくりに汗をかき、冬には次の冬のことを考える。四季に無理やり区切りをつけずに、少し先を見据えた生き方をすることで「スローな人生」を見つけることができます。また皆様にもそんなお手伝いをいつまでもしていきたいと、最近は思うようになってきています。

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手のひらの宇宙「食と農と里山Vol.1」より
(あうん社 2014年11月11日発行)