大豆の味の記憶   「ひょうごの在来種保存会 通信21」より

「こんなに綺麗な色の豆があるんだ・・・」
豆に感動した昔。市場の出店で出会った鶯色の豆。

お店の人に聞いたはず。残念ながら名前は忘れてしまった。
ふっくら柔らかく口の中でぷわっと広がる味。
こんなにも美味しい事を知らなかった・・・
味わう事に意識が向かなかった。
大切なことに気づくのは無くなってから。
意識の向け方が少しづつ変わったのかなと思う。
あの綺麗な豆は何という豆かな、
あの美味しかった豆はまた出会えるのかな、
いまさらながら、作り続けないと私たちの身近に存在し続けられない。
私たちが種の存在に意識が向くよう、五感で触れ、今のうちに。
無くなってしまってからではあとのまつり。
今年素人ですが大豆を作ってみることにしました。
一握りの大豆を預かった3年前、雑で放任栽培ですが、
個性は今も持ち続けてくれている。
鹿や猪の餌になりながらでも収穫の豆は少しづつ増えた。
作り続けたいからやってみる。
今よりもっともっと心の底から大切と感じたいから。
みんなで味わってみたいから。
ずっとずっと味わいたいから作ってみる。

播磨地区世話人・谷野 浩

 

丹波篠山の漬け瓜と青垣のキュウリ    「ひょうごの在来種保存会 通信21」より


ドイツ瓜(篠山市)
来歴が不明ですが、篠山では多くの場所で今も作られている漬け瓜の一種です。カエルの皮のような縞が入っていて縞うりと呼ぶところもあるようで、西播磨一帯にもカワズ、おんびき、三角、揖龍瓜という名の漬け瓜があるようですが、縞や色、形が様々です。篠山では主に塩漬け等にして食べて、軽く塩を振ってサラダ感覚で食すのが独特かと思います。外皮も柔らかく、そのまま薄く切るだけとか、でっぱった所を削り、浅漬けにすると美味とか。
訪れた時は酒井さんの畑では、まだ収穫が始まったばかりで小さい縞模様の瓜が数個成ってい
ました。2mほどの畝にツルを一面に伸ばして栽培します。よく伸びるので時々ツルをとめていくそうで、それが手間だとか。

青垣三尺キュウリ(丹波市)
その後、丹波市の青垣町に三尺キュウリを見に足立賀一さんを訪ねました。
当初は高齢で栽培も少しだからと訪問を遠慮されていたようでしたが、突然の訪問にもかかわらず、畑を案内していただきました。
15mほどの畑の畝に一列、青垣三尺キュウリは植えられていました。以前は100軒ほど出荷される農家があって漬物用として集荷加工場もあり、京阪神でも特に三尺キュウリは美味しく有名だったそうです。しかし長いために曲がり果が多く、漬物用で生食に向かない食味などの理由で、今は青垣でも作っている人はいないそうです。足立さんは以前、役場に勤められ、農協と協力して小豆や水稲の産地普及にも尽力されていたそうです。
三尺キュウリは大阪の毛馬や、奈良の大和三尺の一種に近い品種だそうで、奈良のものよりも色は濃く、細長キュウリに感じました。
宍粟市にも同じようなキュウリがあるようです。多くのキュウリの種を全国から取り寄せて
青垣で数年、選抜した品種になります。採種用のキュウリも見せてもらいましたが、三尺よりも長く、形の良いものを落ちないように布で軸をつるら下げられていました。簡単に交雑するので周りは絶対にキュウリを栽培しないようにしておられました。    (土井 孝浩)

追記:今年に入り、足立賀一さんは畑でこけられ、その骨折した傷が元で亡くなられたそうです。
尋ねた昨年の夏がお話を聞けた最後の機会となりました。また1人在来種を守る人がこの世を
去りました。ご冥福をお祈りいたします。

  「ひょうごの在来種保存会 通信21」
通信21  もくじ
号テーマは〈新風〉
郡家の高菜‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
ドイツ瓜と青垣キュウリ‥‥‥‥3
鳴門オレンジを訪ねて淡路へ‥‥4
赤花ソバのはじまり‥ ‥‥‥‥6
恒屋の青大豆‥‥‥‥‥‥‥‥‥7
都留・水掛け菜サミット‥‥‥‥8
オランダトマトと、橘種苗‥‥‥10
生産者会員との 料理交流会‥ ‥‥12
淡路の新しい芽‥‥‥‥‥‥‥‥13
「山根さん現地から!」‥‥‥‥‥14
見学会のお知らせ【但馬】‥ ‥‥‥16