林業的な視点について  西田浩之

「現代の里山考」
「林業」とは一般的にスギ、ヒノキ、マツなど針葉樹を中心とした素材生産業のことを指し、多くは針葉樹林面積の多い地域で行われている。

今日的に林野庁が主導する管理面積の集約化とそれに対する自伐林家の必要性の再発見についても、多くは針葉樹林を中心に試みが展開されているので、「林業」と言えばゆるぎもなく針葉樹林を対象すると思っていいと思う。
私が取り組んでいる都市近郊林には林野面積の構成比率において広葉樹林と竹林が多くを占め、針葉樹は少ない。かつて生活を補足するための燃料や材料の供給地とされた林野は、いまや貨幣を補足するための場所に変わり、多くは需要に応えることもなく放棄されている。
こうした中で広葉樹林は「林業」という視点から取り上げられることは少ない。その理由は伐
採においても木材においても「扱いにくさ」にある。伐採は針葉樹に比べてコスト高であることがネックになっており、木材としては乾燥の難しさや販路の縮小で扱わないといったことが主因と思われる。竹林についても竹材の汎用性が化学系素材に代替したことで素材生産という業態から伝統産業として保護が必要な状況に至っている。
さて、ここで都市近郊林との関わりについて二つの方向性が見える。「放棄」して自然の遷移
に委ねるのか、それとも「関わる」のか。この二つの方向性の間で様々な手段を見出しつつ、今日的な都市近郊林との関わり方を実行してゆく。その過程で見える諸要素は、これからの都市に対する再提案を内包していると考えている。
私はこれを「現代の里山考」と位置づけている。

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手のひらの宇宙「食と農と里山Vol.1」より
(あうん社 2014年11月11日発行)