食と農と里山と ―フロンティア・デザインの始まりの前に―  髙嶋正晴

はじめに
私は、農山村地域を次世代社会の可能性ある「フロンティア」として位置付けうるようなソーシャル・デザインの考え方として「フロンティア・デザイン」という新しいコンセプトを共同で考案し、

《農山村地域の価値をターンさせる》
《農山村地域へと人の流れをターンさせる》
《都市と農山村のつながりのあり方をターンさせる》
という3つのターン(変化、転換)からなる「フロンティア・ターン(Fターン)」という視点から、調査研究を始めた。
本書のテーマである食と農と里山。これらは、農山村地域の今後を左右するカギであるというだけでなく、私たちの提起するフロンティア・デザインの考え方にとっても、その始まりの前提を豊富化するものといえる。以下では、これらそれぞれについて、また、これらの間の望ましいつながりについてどのように考えうるのか、少し吟味してみたい。

食と農
食と農は密接な関係がある。私たちの食は農作物ぬきに成立しないし、食は農作物の最終市場でもあり、農作物は食となってその価値を発揮する。この食と農との結びつきに大きな影響を与えているのが、市場原理とグローバル化である。
市場原理は、私たちをグローバルな消費者に仕立てあげ、より安価なものを世界から調達することを求める一方で、ローカルな生産者を価格競争の中に放り込み、そこで勝ち抜く国際競争力を是とする。
こうしたなか、我が国の農業は、濃淡はありつつも、全般的な基調としては不振を極めつつあるのが現状だ。農家についても、高齢化や減少傾向がみられ、農村の生産・生活がままならなくなり、農村部の過疎化や荒廃が進行している。

続き PDF 食と農と里山と ―フロンティア・デザインの始まりの前に―  髙嶋正晴

手のひらの宇宙「食と農と里山Vol.1」より
(あうん社 2014年11月11日発行)