猫の傘

傘をさすフーコを思い浮かべて

「フーコの傘をつくってくれないかな」
 今朝起きがけに、私は妻にお願いした。
我が家の三毛猫(風子。8歳)は、毎日、家の外に出る。出たいときに台所のドアの前に座って無言で意思表示する。4年前、猟犬に襲われて大けがをした恐怖のトラウマがあるので、外出しても数分で戻ってくる。それでも新鮮な草を食べたいのか、田舎の季節の移ろいを感じたいのか、とにかく外に出たいのだ。

 この2、3日、台風接近で大雨が降ったりやんだりで、フーコは外に出ていない。だから、猫にも傘が必要ではないかと、今朝フト思ったのだ。傘をさすフーコを思い浮かべるとオカシイ。一人で笑う。
台所で野菜を洗っていた妻に、私は繰り返し言った。
「フーコの傘をつくってくれないかな」
妻は、ノーコメントだが、水にぬれた両手のひらをヒラヒラさせてみせた。フーコが外から帰ってくると、ぞうきんで脚をふかないけれど、朝露に濡れたときなどにする仕草である。
そして妻は、きっぱり言った。
「雨の日に、フーコは外に出ないでしょ」
そうか、残念だが、やっぱり猫に傘は要らないか。             (2011.9.3 平野)