スリランカの里山 キャンディアン・フォレスト・ガーデン  河本大地

はじめに
「かまんね~だ?(構いませんか?)」
「おう、おう、か~まんねかまんね!(ああ、構わない構わない!)」


今日もシンハラ語の会話が楽しい。ここはスリランカの古都キャンディ(Kandy)から南に
車で2時間ほどの山間にある、ムルガマ(Mulgama)村。こうして助け合って生きる様が、日々
各所に見られる。
私は、有機農業と地域づくりの関係に興味を持ち、大学院の博士課程前期には日本の、後期に
はスリランカの研究をおこなっていた。
有機農業は、化学合成農薬や化学肥料を使わず、自然の物質循環系・生態系を活用する農業で
ある。いわゆる先進国では、主に食の安全志向や環境意識の高まりから、取り組み・関心が世界的広がりを見せている。生き方を考え直して関わる人もいる。
では、途上国ではどうだろう? そこが気になっていた。
有機農業に取り組んで作った有機農産物を「有機」あるいは「オーガニック」として流通させ
るためには、国際的な基準に基づいて認定された組織から有機認証を取得する必要がある。日本にもそのシステムを利用して途上国で作られた有機農産物が、たくさん輸入されている。
調べてみると、スリランカは途上国の中では有機農業の先進国だということがわかった。途上
国の農業には、多くの場合2種類ある。ひとつは、商業的プランテーション農業。スリランカはセイロン紅茶で有名で、その茶の多くはプランテーション茶園で作られている。もうひとつは、自給的小農的農業。普通の村の農業はこちらである。
この2種類があるということは、植民地的二重構造が強く残っているということだ。面白いこ
とに、有機農業はどちらの農業形態にも確認できる。そしてその歴史はどちらも1986年にさかのぼる。この年、世界初の有機認証茶園がスリランカに誕生した。また同年、ゲミ・セバ・セバナ(GamiSevaSevana)というNGOが有機農業の推進を開始した。ムルガマ村は、このNGOの活動地のひとつだ。

ムルガマ村ってどんなところ?
ムルガマ村は、スリランカ中部の山岳地帯を流れるニッランベ川(NillambeOya)の右岸、
標高730~1030mの東側斜面に位置する、人口330、世帯数76の村である(2006年6月現在)。村の住民は全員、シンハラ人の上座部仏教徒である。

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手のひらの宇宙「食と農と里山Vol.1」より
(あうん社 2014年11月11日発行)