初雪や 朝日を浴びて 犬走る

夕方になると外気の温度は零度を下回り、今日こそ降るかと見えながらも雪が降らなかったこの1週間。

今朝起きると10センチ以上積もっていた。

ミッチィーが雪原を走りたくて待ちわびている。土手下の田んぼに雪ボールを投げてやると、いつもの走りと違って、キツネのようにぴょんぴょん飛び跳ねて拾いにいく。
初雪の朝はまず、これから始まる儀式のようなものか。来年はもう十歳にもなろうというミッチィーだが、雪にはしゃぐ様は1歳のころとまったく変わらない。普通のボール拾いだと、20分も続けたら「もいいいよ」という顔を見せるのに、雪のボール拾いになるとギブアップしない。こちらは長靴の底からジンジン冷え込んで、雪ボールを握る手袋のなかも痺れているというのに、スゴイ野生だといつもながら感嘆させられる。本能の目覚め! 美しい野生の躍動! 

昼から止んでいた雪が、先ほどからまた降り出した。この塩梅だと明日はさらに積雪が増して20センチほどなるかもしれないが、丹波ではせいぜい30~40㎝が限度だ。し~んと静まった里山に降ったり止んだり、この程度の雪がちょうどいい。
北国ではいま1メートル以上の豪雪で日々の生活にも支障をきたしているようだが、丹波に降る雪は、一年の出来事を忘れるにもちょうどいい頃合いの、優しくも風流な雪である。まるで一年という過去形を真っ白に初期化して新年を迎えるような・・・。
風流に舞う粉雪を眺めていたら、仕事を放って本の続きを読みたくなった。昨日、図書館で借りてきた『ノボさん』(小説 正岡子規と夏目漱石 伊集院静著)。昨夜、寝床で読み始め、30ページほどで寝てしまった。
本の扉には、こんな魅力的なコピーがある。

「子規は夢の中を走り続けた人である。
これほど人々に愛され、
これほど人々を愛した人は他に類をみない。
彼のこころの空はまことに気高く澄んでいた。
子規は、今も私たち日本人の青空を疾走している。」

初雪の田んぼを疾走するミッチィーと、病床につく前はべーすぼーるをこよなく愛し青空を疾走した子規とが重なった。
初雪や昭和も遠くなりにけり
2014年12月18日 村長