碧空の下、沢庵用の大根を洗う

立冬をすぎて寒風吹きすさぶ頃、手を切るような水で大根洗うのはきつい。しかし、漬け物がないと生きていけないので、沢庵づくりはいつの間にか僕の仕事になった。


大根を抱き碧空を見てゆけり  (飯田龍太)

佳い句だ。昨日はそんな碧空(あおぞら)で風もなく、大根を洗うにはもってこいの日だった。畑から大根を間引いて60本以上洗った。昨年は、種蒔き時期が遅かったせいか小さな痩せた大根ばかりだったが、今年はそこそこ太っている。といっても大きさは、店頭で見かける大根の半分以下から4分の1程度。有機肥料もあまりやらないし、間引きを2~3回して後はほったらかし農法だから、こんなものだろう。でも、沢庵漬けには頃合いの大きさだ。
3~4週間天日干ししてから漬けるので、水分が抜けてさらに小さくなる。昨年は正月過ぎから毎日1個ずつ沢庵を食べていたら、2か月以内になくなって寂しい思いをした。今年の大根なら何とか3か月ほどは持ちそうだ。

同時期にハクサイも漬ける。昨年はハクサイ漬けがむしろ余るほどだった(野外に置いていても暖冬のため酸っぱくなったり)ので、今年は少なめにしようと思って苗は10株ほどしか植えていない。ところが、そのうちの半分近くは虫に食べ尽されてしまった。
見事な集中攻撃。農薬はいっさい使わないので、虫たちも安心安全を感知している。同じ畝の少し離れたところにあるハクサイはまだなんとか持ちこたえているけれど、いずれこちらにも襲ってきそうだ。そのときは諦めて、近所から物々交換でもらうしかない。 
まぁ、ハクサイ漬けはほどほどの量でいいが、自家製の美味しい沢庵がないと一冬が越せないような、寂しさわびしさを感じる。大きな禅道場などでは1年分の沢庵を漬けるのがこの時期の風物詩にもなっているらしい。
ボリボリ、ボリボリ、ボリボリと音を立てながら沢庵を噛みしめるとき、「歯、歯、歯の歯」と笑みがおのずとこぼれ、生きて生かされている幸せもかみしめるのである。(2014.11.9) 村長