早霜が降りそうな今日この頃

小豆の鞘がまだ青々としているのに、ここ数日めっきり冷え込むようになった。いつ霜が降りるかと案じるほど早朝は冷える。

鞘が枯れてこないうちに早霜が降りたら小豆は収穫できなくなる。昨年は霜に全部やられてしまったので、阪神タイガースの優勝と同じくらい気になる。

小豆は、枯れた鞘だけを一個ずつ獲っていく。小豆の鞘は一時に枯れてこないので摘み取り作業はのんびりしたものだが、忙しい黒枝豆の収穫と出荷が今朝やっと終わってやれやれというところ。
この10月はほんとうに慌ただしく過ぎた。
10月初旬、藤田農園さんのところで天日干しの米を脱穀、予測どおり70kg採れた。自家用に15kg残し、スーパーの前にある精米機で標準白米して、5kg、3kgとわけて友人知人に送った。そのキラキラと光る白米の美しいこと! 我が家では玄米をその都度、家庭用精米機で3分搗きにして食べているので、当然ながら白米がこんなに白いということをずいぶん見ていない。初めて作った米であるだけに愛おしく、頬ずりしたくなった。

10月8日は、手のひらの宇宙BOOKs創刊ゼロ号の出版パーティ(大阪)。10月10日、夜間高速バスで上京。
朝7時半過ぎに東京駅に着き、千葉駅からレンタカーで両親の墓参。3時過ぎに東京へ戻り、印刷会社の人と打ち合わせ(「食と農と里山VOL.1」)。夕方、(一般社団)日本伝統職人技術文化研究会の懇親会に参加。翌日(12日)、明治神宮で同研究会の職人サミット(展示会)に。PM10時過ぎ帰宅。10日の窮屈なバス車内と振動、11日は同宿のいびきに悩まされまる2日間眠れなかった。スケジュール調整のためとはいえ、夜間高速バスはもうこりごりだ。

10月15日からマツタケ山解禁。昨年、隣人のKさんと一緒に入札した山に入る。「ある、ある」と念じながら何度か山に入り、なんとか数本のマツタケをゲット。丹波に住んでいても高価な丹波産マツタケを口に出来ない人が多いのだからこれで十分満足だ。
10月20日前後から黒枝豆の収穫と出荷、これが1週間続く。無農薬・草まみれの黒枝豆は虫食いが多いので収量は通常の4分の1、選り分けにも時間がかかる。例年、大阪の某大学の学園祭に50~60kgを出荷しているので、これが終わると毎年ホッとする。村民さんへの「おすそわけ」を送ったら株主さん用の黒枝豆が無くなってしまい、昨日慌ててご近所の知り合いに17kgほど発注。


先週土曜日(25日)は神戸ベンチャービジネス研究会で「手のひらの宇宙BOOKs」の講演。感触良し、20名中2名の執筆参加者あり。翌26日はカミさんの両親のダイヤモンド婚の祝宴。
明後日は、手のひらの宇宙BOOKs第1号「食と農と里山VOL.1」が1500部ほど届く。この配送作業が終わったら少しは落ち着くだろう。
気を鎮めるために、久しぶりに司馬遼太郎の小説(「燃えよ剣」)を寝床で読んでいる(半月前には、浅田次郎の「一藤斎伝」――新撰組の殺人鬼と怖れられた斎藤一が語る――を読んだ。その流れから「燃えよ剣」を読みたくなった)。この小説は、1962年6月から産経新聞に大長編「竜馬がゆく」の連載を始めて間もなく、「週刊文春」に並行して連載したという。同時代の陰と陽を表現したかったのだろうが、たいしたエネルギーだ。しかし当人にとっては小説家冥利に尽きる。
司馬遼太郎は、かつて富山県井波町の南部白雲工房を訪ね、二代目白雲を取材した折、ひたすら木を彫り続けている二代目に、「私もペンを持つ職人です」と言ったという。その言葉に感銘を受けた三代目白雲(当時は二十代。写真:左上から2番目)は現在、会員30名ほどいる日本伝統職人技術文化研究会の事務局長。「職人は仕事がなければ技術が絶える」を口癖に、研究会を盛り立てている。昨年の住吉大社に続き明治神宮でも職人サミット(展示会)を開催したのも世間一般に伝統職人の技を知らしめたいからだ。
技術の継承は一般企業でも同じこと。合理主義(ご都合主義)の人材派遣に頼ってばかりの企業に人材も技術も育たない。

竜馬が究極の陽とすれば、土方歳三は陰にあたると、この小説を読みながら思った。陽・陰の違いはあれ、自分の信ずるがまま熱い血潮をたぎらせて時代を駆け抜けた志士(サムライ)だ。
近藤勇と土方歳三と沖田総司の三者三様のからみ、鬼神のごとく冷徹な土方歳三がウブな純恋愛をしたり、下手な俳句を詠んで、それを沖田が茶かすところなど何ともおもしろい。司馬遼太郎は、新選組に違和感を持ちながら書き始めたが、書き終えたあと「土方も近藤も、自分の浮世の知人よりも親しいような感情を持っています」と語ったという。さもありなんか。それもまた小説家冥利に違いない。時代小説を読む楽しみも、浮世を忘れ魅力的な人物に出会うことにある。
いつの世もその時代が人物の器を造るのだなぁ・・・もしあの時代に生まれていたら自分は・・・などと想像しつつ、阪神タイガースの優勝も祈りつつ、早霜が降りそうな今日この頃。 村長 平野

 手のひらの宇宙BOOKs第1号 「食と農と里山 VOL.1
26の手のひらの宇宙・人 著
単行本 256ページ 定価1200円(+税)
発行:あうん社 2014年11月11日発行