遺産を未来へ  ひょうごの在来種保存会・通信19号

やっと在来種へと注目が浴びてきたなと感じる昨今・・・(「ひょうごの在来種保存会・通信19号」より)


食べ物を作って味わう、農を営む上で多くの人々が、今までに在来種や品種改良によって多種多様な品種やそれを作り上げる技術、いわゆる多くの農法などを実践してきたと思います。慣行農法、有機農法、自然栽培、自然農、どれもがよりよい農作物を栽培するために苦労を重ね、努力し、生産性をも高めて行きついた結果だと思います。
それぞれに一長一短あって、正当な方法、正しい正解なんてないと思います。自分にとって作りやすい、営みが可能だと思う農法が一番だと感じます。そんな中で最近感じたことを綴らせてもらいます。
栽培種の種に携わり、やっと在来種へと注目が浴びてきたなと感じる昨今、私が田舎の集落を回って感じたことは、在来種を守っているおじいさん、おばあさんは特にそんな注目なんて知らず、感じず、昔ながらの生活を今なお、暮らしながら種を生活の一部として維持している所に惹かれてしまいました。
聞き取りの中、「この品種じゃなきゃ良い味はだせない」とか「種は絶やしてしまったけど昔の~はよかった」などをよく耳にします。
新しく改良された品種やF1品種は多くの在来種がもつ、「弱点」といわれるところを交配育種によってなくしてきた人々の努力の賜物です。味についても全国どこで作っても美味しいなど、農家にとってこれほど良い種はないのではと思うほどです。でも、それは人の考えの範疇でのこと。自然界での摂理を考えてください。はたして未来へつづく最良の選択の結果でしょうか?
多くの農家が長きにわたったやり方に効率を求めて、技術なり、農法なりを変え、多くの品種、殊に昔の品種をすててきました。多くの品種が生まれ、そして消えていったわけです。今でも残る貴重な昔の品種は農家の残したいという強い想いや生活になくてはならない必需品だったから残っているのではないでしょうか。
地域にしかない食事や在来種がきっとあると思っています。それらが今消えてなくなろうとしています。お年寄りや郷土食、在来種に出会うために田舎地域を回るのが趣味な私ですが、私ひとりで残すのは不可能な事です。
旅先でであった興味ある種、郷土料理を忘れないでほしい。そして自分たちで探して伝えてほしい。これから食に携わる多くの人がそういった食文化や在来種に目を向け、一緒に守っていき、互いに情報を共有して語り継いでいってほしい。遺産、遺伝資源を次代へと送る。夢ばかり語っていますが、植物学者の中尾佐助先生がいっていた「種から胃袋まで」を理解し、一歩ずつ実践へとかえていきたいものです。あと数十年の話ですが、それが私なりの描く未来です。 土井 孝浩


ひょうごの在来種保存会通信19号 テーマは〈未来〉 
【目次】
遺産を未来に‥‥‥‥‥‥‥‥‥1
「今ここにある」未来‥‥‥‥‥2
10年をむかえて‥‥‥‥‥‥‥‥3
姫路若菜‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4
八代オクラ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5
尼いもに想う‥‥‥‥‥‥‥‥‥6
卒業研究を在来種で‥‥‥‥‥‥8
山形訪問‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10
「種から種へつなぐ」本‥‥‥‥12
八幡の芋‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13
山根さん現地調査報告‥‥‥‥‥14

通信19号別冊「ニンニクハリマ王命名の畑」プロジェクト