クリンソウを訪ねて、脚の筋肉攪乱す

一昨日(25日)、カミさんと一緒に青垣町稲土のクリンソウを訪ねて山道を往復6キロ歩き、大汗をかいた。朝起きると膝の筋肉がパンパンだった。


この日は、集落の「防護柵見回り」の当番だったが、一日かぎりの公開というクリンソウに逢いたくて、当番をMさんに代わってもらっていた。
快晴で少し暑いくらいの陽気。午前10時に「清流館」に集合してから三々五々、その現場に向かった。山道と言っても林道として舗装されているから歩きやすかったが、渓流を見ながらとろとろした傾斜を登っていく途中からはやくも大汗が噴き出てきた。
花の写真を撮ったり、渓流を覗いたり、案内イラスト地図で「ヒメボタルが出るのはこの辺りか」「タタラ跡はこの辺か」と確かめたり、よその村の人とあれこれしゃべりながら約1時間で現地に着いた。
70~80名の参加者が一堂にそろったところで、紙芝居風の説明があった。
丹波市の最高峰・粟鹿峰(962m)の中腹(520m)に、群生するクリンソウが見つかったのは昨年のこと。兵庫県RDB(絶滅危惧種)に指定されているが、集落の人たちが大事に守ってきたおかげで、今年はRDBのAランクからBランクになったという(Cランクまである)。昨年は700株ほどの群生だったのが今年は2000株ほどに増えているからだ。

サクラソウ科のクリンソウという名の由来は、五重塔の九輪から来ている。成長するにつれて下から段々花が咲き、九輪のようだから。その段を数えてみると、九段まではなかったが七段、八段の花はいくつもあった。五弁の花びらのピンクが鮮やかだ。ひっそりと山間に咲くからなおさら愛おしい。
花言葉は、「幸福を重ねる」「物思い」「物覚えのよさ」など。ふーん、何ともありがたい花だこと。
この山にも鹿が多いから、腰を下ろした地面の草も鹿がよく齧っているので丈は短い。なのに、なぜクリンソウはここに残ったのか・・・。鹿はクリンソウを食べようとして、「しかし待てよ~」とよくよく考えたのだそうだ。そして止めた。葉の裏にある繊毛に「プリミン」とかいう有毒成分があるのを、しかと察知したからだ。多く見られたミツマタの木にも有毒成分があるから鹿は食べないという。猛毒のトリカブトもあちこちに見られた。有毒成分が含まれる木花は薬草にもなるが、植生が多様というこの山は薬草の宝庫でもあるらしい。紙芝居風解説の最後に、宝庫である在来種を守り、遺伝子の攪乱をさせないために、「持ち出さない・持ち込まない・環境保全」を強調していた。種のコスモスも強者が一人勝ちしがちなグローバリゼーションにはとんと弱いのだ。

帰り道の途中、渓流のそばの岩にカミさんと二人腰を下ろし昼飯のおむすびをほうばった。水量豊かな清流を見下ろしながら黙々と食べる。「渓流の真ん中にあるあの小岩でも砂粒になるまでに何万年、いや数百万年もかかるだろう」などとぼんやり考えている。光る山が笑っている。時折、谷筋をわたる風が心地よい。
昔は年に1、2度は近隣の山を登ったものだが、丹波に来てからは山が身近にあるせいか、かえって山が遠のいていた。畑仕事でも筋肉痛は起こるけれど、山登りでは筋肉の使い方がだいぶ違うのだろう。情けないことに坂道をとろとろ下るとき、膝が笑い、その筋肉はすでに攪乱していた。筋肉攪乱をさせないためにも山に親しまないといけないと反省もし、花に誘われるこうした時間は貴重であると、しみじみと悟ったのだった。(2014.5.27)   村長 平野

 

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