アイガモ米レポート(1)

百姓の生きてはたらく暑さかな  (与謝蕪村)

藤田農園・自然農法アイガモ米

 藤田農園は、奥丹波にあたる福知山市の郊外、田舎元気本舗(丹波市春日町)から車で30分の山間にある。

fujitaai1.jpg「おいで、おいで」
藤田剛さんはそう言いながら手をたたく。すると、田んぼに散っていたアイガモのヒナたちが、いっせいに集まってきた。生後まだ2週間の赤ちゃんだ。アイガモは警戒感がとても強いそうだが、親(藤田さん)のご飯の合図だけには寄ってくる。
 「かわいいねぇ」と微笑みながら餌のくず米をまく。
この田んぼも3週間ほど前に田植えをすませたばかり。写真では見えにくいが、田んぼの上には肩の高さぐ fujitaai2.jpgらいに縦横50センチ間隔で釣り糸を張り巡らせている。カラスやトンビが空からアイガモを襲うからだ。

fujitaai3.jpg百姓のおもしろさは 

 藤田さんは、約3町(3,000坪)の田んぼを一人でつくっている。すべての田植えを済ませるのに1カ月近くかかる。農薬はもちろんのこと有機肥料もやらない自然農法にこだわっているので、反当たりの収量は250kg程度(通常の半分)。 fujitaai4.jpg
   その収量も鹿や猪などの獣害で1割ほど失う。電気柵、網柵など獣害対策にかかる費用も作業もそうとうなもの。「この間の大雨で電気柵が水につかり効き目がなくなって、アイガモがキツネにやられてしまった」と苦笑する。
   獣害に頭を悩ませながらも、百姓のおもしろさは「自然とともに生きる自由につきる」と断言する藤田さんである。

 

市島アイガモ研究会のアイガモ米

  福知山市と春日町の間にある丹波市市島町。市島アイガモ研究会の田んぼは、田舎元気本舗から車で5 ichijimaai1.jpg 分。十五、六年前、NPO法人丹波太郎の理事長・荒木武夫さんがアイガモ米づくりを初めて、現在は10人ほどのメンバーで運営している。藤田さんも十年ほど前、この研究会でアイガモ農法を学んだ。
   同研究会の田んぼは1か所にまとまっておらず、集落のあちこちに点在する。その田んぼにはアイガモを囲う柵が巡らしてあるので一目でわかる。ある田んぼで写真を撮ろうと車を止めてみたが、アイガモが見当たらない。おかしいなと思っていると、「ガァ、ガァ」と声がした。いた、い ichijimaai2.jpg た! 稲の間から頭をのぞかせている。この田んぼは、藤田農園より2週間以上早く田植えをすませていたらしく、稲は倍(50060センチ)ほどに伸びている。アイガモもかなり大きくなり成鳥になっていた。でも、あと半月もすればアイガモの姿がすっかり見えなくなるほど稲が伸びているだろう。
   田舎では、稲の生育が時間を刻む。四季の流れがほんとうに早いことを実 ichijimaai3.jpg 感させられるが、新緑の稲穂が風になびく田んぼは乙女のように美しい! 黄金に実ったときの田んぼも最高だ! 雪に埋もれた冬景色もまた......、田舎で暮らす喜びである。

 それにしても、こういう故郷を失った東北のみなさんはお気の毒でたまらない。そんな気持ちを逆なでして辞任に追い込まれた某大臣には真夏の草刈りでもしてもらいましょうか。もちろん、アキカンと呼ばれるソウリも一緒に。   (11.6.29 村長)