ようやく米づくりの入口に立ち感無量

田植えをしない田植え(愛称:お布団農法)が終わってホッとしている。奇妙な白い田んぼを眺めながら百姓の入口に立ち・・・。


3日のれんげ祭りは盛大なうちに終わった。朝5時に起きて準備にかかり、8時30分過ぎに餅つきを始め、10時の開演までに5~6臼の草餅を搗いた。それを10人ほどの女性たちが餡入り草餅6個をパックに詰めていった。さあ、準備万端と思ったが、開演と同時に数十個のパックは売り切れてしまった。それからというもの総勢20人ほどの餅つきコーナーでは、休む間もなくもち米100kgを搗き、昼めし弁当を順番に食べることができたときは2時くらいになっていた。
何しろ9時前頃から人がぞろぞろ集まってきて、サンテレビも取材に来るほど例年以上の人出だったようだが、餅作りに追われ続けてほかのコーナーの様子はまったく目に入らなかった。反省会で自治会長の発表によると、1300人の人出だったそうだ。やれやれ、とにかくクタクタ、ヘトヘトの一日だった。

そして翌朝(4日)も5時に起き、家のすぐ前の田んぼでお布団農法の準備にかかる。9時には応援にかけつけてくれた丹波里山くらぶのメンバーYさんの指導のもと、田んぼにフトンを敷いていった。
コットンの布のなかに米の種が並んでいる。幅1メートル、長さ100メートルのロールの両端を10センチほど重ね、3本引き伸ばしていく。Yさんが布を少しずつ引き伸ばていくときに、ぼくはポンプアップした水を布の一面に撒いていく。布は綿のように軽いので、風にあおられないように水をしみ込ませていくのだそうだ。最初はとくに布が重なったところを念入りに水を撒くようにと言われた。
3畝余り(約100坪)の田んぼに布を敷くのに2時間ほどかかった。思っていた以上に簡単だったが、風があったらこうはいかなかった。この農法で約1反の米をつくっているYさんは、「昨日は風があったので5時間以上もかかり、たいへんでしたよ」と笑いながら言った。

庭で昼食をとって1時間後、田んぼの両端に同じ素材でできた細紐をはって、布が風に飛ばないように抑えた。ところが、休憩している間に乾きはじめた布がわずかな風にもあおられて、あちこちでめくれていった。急いでその個所に水を撒いて布を抑える。その繰り返しに1時間かかり、何とか収まったところで田んぼに水を引き入れた。奮闘ぶりの足跡も残った一面の白い美しい田んぼ。いまは奇妙な感じだが、1か月もすれば早苗が風になびくだろう。それを想像して、ああ・・・感無量なり。水揚げポンプも用意してくれた、今年で3年目というYさんの指導がなければお手上げだった。
この丹波では、化学肥料や農薬を使う慣行農法では反収(1反あたりの収量)は平均450kg前後だが、自然農法(アイガモ農法)の藤田農園ではせいぜい300kg。お布団農法も自然農法と同じだから、Yさんの経験では反収250~300kgらしいから、我が田んぼでは80~100kgという計算になる。うまくいけばの話だが、友人やオーナー村民に収穫を分けたとして、我が家では2か月分(20kg)食べられるかなぁ・・・。(ちなみに参考までに、3本のロールと紐2500m、送料などの合計で約15000円なり。トラクターで鋤いてもらった謝礼8000円なり。収穫までの労賃を考えたら買った方が安いに決まっている)
自前の米をつくることで百姓らしい気分になれる。それは農耕民共通の思いらしく、アーティストの真砂英朗さんも、友人の何人かも昔のように手植えで米づくりをしているが、ぼくはそこまでしてやる勇気も時間もない。これまでトラクターも田植え機械もないので諦めていたが、雑草を抑えるのを最大の利点とするこの農法のおかげで十数年来の願望が実現した。生涯見習い百姓を自負する百姓の入口に立った、ありがたくも嬉しい爽やか気分である。(2014.5.6)

●お布団農法
布マルチを使用した栽培方法はロールになった布マルチシートを水田に転がして敷き詰め、布の下に水を入れシートを浮かべます。稲はシートを突き抜けて生長しますが、雑草は水面下で成長しても布を突き抜ける事が出来ない構造になっております。三葉が出たら落水し中干しします。布マルチは着土し地中に根を張りますが、雑草はシートに押さえつけられ成長できません。後は、間断灌がいの水の管理を行えば完了です。布マルチシートは天然コットン100%なので、水田では土壌微生物によって約50日で分解されて、土壌有機物となり地力の維持に役立ちます。できたお米は良質で美味しいお米と評判です。(丸三産業株式会社のWebより)