福島市発:伝統料理や食材、続々再生 ~ 「かーちゃんの力・プロジェクト協議会」

東日本大震災の被災地で、伝統的な食文化が危機にさらされている。郷土料理に欠かせない海産物加工場が津波で流されたり、

伝統行事を行ってきた地域社会が避難でバラバラになったりしたためだ。
そんな中、古里の味を守ろうという地道な活動が行われている。
民間団体「かーちゃんの力・プロジェクト協議会」は、東京電力福島第一原発の事故によって福島県飯舘村や川俣町などから福島市に避難してきた女性たち約20人でつくる。保存食として家庭で作られてきたダイコンのみそ漬けや、唐辛子入りでピリ辛味の南蛮漬けなどを作り、福島駅前の店舗などで販売している。
飯舘村のブランド野菜であるカボチャ「いいたて雪っ娘(こ)」も、福島市内に借りた畑で栽培を続け、甘みをいかして菓子などに加工して販売している。
昨夏に市内の仮設住宅などで開催したイベントでは、かしわ餅の作り方を子どもたちに教えた。田植えが終わったことを祝う伝統行事「さなぶり」で食べる餅だ。
会長の渡辺とみ子さん(60)は、「地域の人たちがバラバラになり、農地もなくなって、このままでは食文化が消えてしまう。いつ戻れるかわからないが、故郷の味を絶やさないように活動を続けていきたい」と話す。
宮城県石巻市の榊照子さん(70)は、家業の「焼きハゼ」づくりに取り組む。「焼きハゼ」は、郷土料理「仙台雑煮」のだしとして欠かせない。震災前は、父親の乙男さんが手作りの伝統的な方法で製造し、地元で珍重されてきた。しかし、乙男さんは津波で亡くなり、自宅やハゼを焼く作業場も流されてしまった。
地域の伝統料理や食材を守る活動をしている団体「スローフード宮城」などが募金を呼びかけ、ハゼを焼く網などを購入。照子さんが製造を再開し、2011年の年末には少量ながら新年の雑煮用に焼きハゼを作ることができた。12、13年と少しずつ製造量を増やしている。「先祖から受け継いだ味を守りたい」と照子さんは話す。
三陸産のワカメや昆布、サケなどの海産物とダイコンやニンジンを漬け込んだ郷土料理「海鮮漬」。この伝統の漬物を作ってきた「釜石大槌郷土料理研究会・すみれの会」の施設(岩手県釜石市)も津波で流された。しかし、11年秋には、釜石市の漁業関係者や農家の女性たち約20人で活動を再開。12年から市内の仮設食堂を新たな拠点にして海鮮漬の製造を始めるとともに、仮設住宅などで郷土料理の食事会を開いてきた。

続き YOMIURI ONLINE (2014年3月11日 読売新聞)