英国土壌協会側の日本訪問

CSA(コミュニティーが支える農業)と交流

 2月24日から3月3日まで、英国土壌協会のメンバーが日本の有機農業関係者との交流目的で来日された。
 このイギリスと日本の交流プログラムは昨年、2月に開催された神戸大会に参加された、イギリスの土壌協会のメンバー、クリスティンさんが日本の産消提携運動に関心を持ち、現在イギリスで広がりつつあるCSA(コミュニティーが支える農業)関係者と交流しようという趣旨で始まった。昨年の10月下旬に日本側から埼玉の生産者、並木さん、熊本から生産者の緒方さん、消費者の吉川さん、神戸大会事務局の三好さん、兵有研からは私と、本野さん、赤城さんが参加したことは以前の市有研便りで報告した通り。
 今回の英国土壌協会側の日本訪問は、日本有機農業研究会、兵庫県有機農業研究会で受け入れを準備した。
 日程は以下の通り。
2/24 イギリス参加者到着、神戸学生青年センターにて集合、懇親会
2/25 菜の花の会、渋谷農園、西馬氏農園/レストラン、コープ自然派
2/26 丹但酪農、中野農園、有機の里市島、橋本農園
2/27 兵庫県有機農業研究会総会に参加、交流会
2/28 東京へ移動、日本有機農業研究会にて交流
3/1 八郷町にて現地交流会、魚住農園
3/2 埼玉、並木農園訪問、京都へ移動
3/3 京都見学

 日程や訪問先については、日有研久保田さん、兵有研赤城さんと協議のうえ、ジェイドさんと調整しながら決めて行った。日本側の訪問を含め、夏ごろからメールでプログラムの調整を行い、日本側が終われば、今度、イギリス側の訪問準備に取り掛かり、かなり長くやり取りをし、やっと、全てが終了し、一安心だ。

出迎えにてんやわんや
 今回の訪問団は到着時間、便が皆バラバラで出迎えは混乱すると事前から予感はあった。フィルさん(英国土壌協会理事/生産者)は早くイギリスを出て、フランスに立ち寄って24日朝日本に到着。ジェイドさん(CSA普及員)とグレーメさん(有機畜産生産者)は23日に出発し、24日の夕方に関空着。メリッサさん(食品コープ)は9日に出発し、タイに立ち寄ってから日本に24日昼ごろ到着、マットさん(CSA農場)はすでに1週間前に日本に到着し一人で日本観光の予定。そこでまず、兵有研の白井さんに朝からフィルさんを空港まで迎えに行ってもらい昼到着のメリッサさんと合流。マットさんは連絡待ち。夕方、到着するジェイドさんとグレーメさんを私が迎えに行き、夜は六甲苑で交流会をする手はずになっていた。
朝到着のフィルさんは無事白井さんと出会うことができた。昼ごろ、マットさんからも家に連絡が入った。彼は大阪にいて、今から神戸に向かうとのこと、これも安心だ。ところが関空に向かう途中で、白井さんに連絡をとったところ、メリサさんが来るはずの飛行機に乗っていようで、いくら待っても出てこないとのこと。また、あの神戸大会の消えたメンバーの悪夢が蘇ってきた。とりあえず2人は神戸に向かってもらい、私は関空でジェイドとグレーメの2名を待った。ところが、この2名もまた、空港から出てこない、散々探したら、南出口のはずが、わざわざ北から出たようでやっと無事えて一安心。メリサさんはタイからの乗り換え便が遅れ、結局、到着が夜の9時ごろになる模様。2人を先にタクシーに乗せて、わたしはメリサさん到着を待ち、やっと学生青年センターに到着したのは夜中の12時30分でへとへと。マットさんは1人大阪から迷いながら三宮まで乗り越したりしながら、どうにか自力でセンターにやってきた。

種まき機に関心をみせる
 翌日は朝から皆を連れて、「菜の花」会の仕分けの現場を見に行った。市有研と違い、「菜の花」では生産者は収穫物を出荷場に持ってきて、それを消費者が当番制で各コンテナに仕分けしトラックに乗せ、各ステーションに配達していた。事務局の人が2名いて、生産者の渋谷さんの自宅の2階が消費者団体の事務所になっていた。続いて、渋谷さんにも農場を案内してもらった。ハウスにはほうれん草、水菜、チンゲン菜などさまざまな青菜。次に行った西馬さんのところもそうであるが、やはり神戸西区は市島と比較して気候が暖かく、市島にはもう畑にないものまで、まだできていた。イギリスの人たちは渋谷さんに見せてもらった種まき機に大変関心がある様子だった。どうもイギリスのものより精巧にできているらしい。イギリスは大規模用の機械は製造が進んでいて精巧にできているが、規模の小さいものに対応する技術はいまいちなんだそうだ。後、イギリスにはボカシ肥料というものがなく、これも説明した。
この後、西馬さんの経営するオーガニックレストラン「グランメール」で昼食をとり、西馬さんの畑も見学、午後から、コープ自然派の集配センターを見学、交流した。

 ヒバリが巣立つ時期を待って「環境直接支払い」
 翌日、一行は丹波市に向かい、石生駅で下車、丹但酪農本部でパスミルク生産者会のメンバーと交流した。生産者会からは婦木さん、中野さん、山川さんを始め、5名のメンバーが出迎えてくれた。まず低温殺菌牛乳ができた時代背景、経過、提携消費者との出会いを説明し、野菜の場合と異なり、牛乳は複数の提携消費者団体によって支えられていることを説明した。続いて、グレーメさんから本人の農場の説明、英国の有機畜産の現状についても説明を受けた。グレーメさんの農場は120ヘクタールで牛が140頭、羊が220頭、牛の病気の問題を避けるために、牛を飼った区画は羊に変更し、その後そこに麦を植え、輪作し、麦は飼料やパンも作って販売している。奥さんは主に、農場ショップを運営しているので、この広い農場を管理するのは本人と雇用1名、犬1匹でこの犬は人間の2人分の働きをするそうだ。飼料は自家製のものも含め、全てオーガニックで有機畜産の認証を受けているそうだ。また発酵牧草(サイレージ)の場合、刈り取り時期が早いと牧草地に巣を作るヒバリの巣を壊してしまうので、乾燥牧草で保存するようにし、ヒバリが巣立つ時期を待って牧草の刈り取りをすると環境直接支払いが政府からいただけるそうだ。生産者会側から他にも病気の問題や自然に飼うことで受精率が悪くなるのではという質問もでたが、特にあまり問題がないようで、動物も本来の生育に十分なスペース(広大な牧場)で育つと病気になる問題もないのではないかという結論に達した。双方、盛んに意見が出て、非常に充実した交流会になった。
そのあと、市島に入り丹波太郎を見学、うちの農場見学後我が家で交流、宿泊して、翌日兵有研の総会に参加した。総会終了後に兵有研主催の交流会が開催され、フィルさんからは土壌協会の話を、ジェイドさんとマットさんからはCSAの話をしていただいた。東京にはいっしょに行けなかったが、東京の日本有機農業研究会の交流会、八郷町、並木農園でも交流会にも大勢の人が参加し、歓迎を受けたそうだ。今までは忙しい時期での外国からの訪問が多く、現地見学は直接行くことがなかったが、自分で通訳をしながら回ることで今まで聞けなかったことや、行けなかったところへも行け、大変勉強になった。また有機畜産も含め、欧州の有機農業の基準の高さをあらためて認識した。(市有研 橋本)