豊作祈願 ~ 稲荷神社初午祭り

小麦粉を練って色をつけたお供えの団子「繭(まゆ)飾り」が珍しいのか、NHKローカルニュースの取材があった。

毎年3月初旬に、集落(野上野)の豊作祈願が稲荷神社でおこなわれる。京都の稲荷神社は2月の初午の日に祭りがおこなわれるそうだが、こちらは旧暦2月、すなわち3月初旬にする。今年3月の初午は3月12日だが、日曜日を選んで今日(2日)となった。
現在、丹波市内で蚕を飼っている家は一軒しかないが、そう遠くない昔はどこの家でも蚕を飼っていたという。繭(まゆ)の形の団子をコバノミツバツツジの小枝に刺した「繭飾り」をお供えするのはそこに由来するそうだ。丹波の他の地域のことは知らないが、NHKが取材に来るくらいだからこの繭飾りは珍しいのかもしれない。

前日からまる一日かけて、繭飾り作りやもちつき、料理の下ごしらえ(うどん、お汁粉、おもち、ちくわなど)、ちょうちん、幟などの準備をして、お参りの人を無料でお接待する。なかでも人気があるのは焚火でぬくめた「竹酒」だ。「2級酒が特級酒になる。いくら飲んでも酔わん」と言って、竹酒を飲みたさに参る人も少なくない。
11年前、初めてお参りしたときは、焚火を囲んで竹酒を交わすこの雰囲気が、いかにも素朴な村祭りの懐かしさ。神社の薄暗い森といい、朱色の鳥居といい、おキツネさんのいる小さな社といい、神話的世界にタイムスリップしたようだった。

観る人によってはおそらく、宮沢賢治の童話風な詩情も漂う。こういう祭りは残していきたいものだ。しかし残念ながら、この稲荷神社の祭りごとは、集落全体ではなく奉賛会有志によって続けられている。会員数は23名(戸)というから集落戸数の1割程でしかない。ぼくもお付き合いのつもりで会員になり、昨年もお接待役を務めたが、朝の7時半から火を燃やし待ち続けた今日のお参り人数は、昨年に比べてずいぶん少なかった(30~40人)。雨曇りの空のせいかもしれない。幸い案じていた雨は降らなかったが、午後1時過ぎころにはお参りが途絶え、あまりにもヒマをもて余し竹酒を竹盃で5杯も飲んでしまった(2合ほどか?)。
2時過ぎには片付けを始め、3時過ぎに解散。

帰宅してからさっそく、昨日やり残していた薪割りでひと汗かくと、竹酒はすっかり醒めていた。 村長