南相馬の小澤さんからの便り

しばらく小澤さんのメールが来ていないので、どうしたものかと案じていたところ、今朝届いていました。

相変わらず避難者への支援活動に奔走して大変そうだけれど、くれぐれも心身の健康に気を付けてと言うほかにない(しかし東電よ、責任をとりなさい!)。
ここに原文のまま掲載させていただきます。

南相馬市の小澤です

「ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト」のメンバーでモニタリングにも参加されている、福島県双葉郡富岡町出身で神奈川県横浜市に避難中の坂本建さんが、1月29日に横浜地裁で行われた「ふくしま原発訴訟かながわ」の第1回口頭陳述で、ご自身の思いを熱く語られた内容です。

強制避難指示区域の原発から20km圏内ばかりが放射能被害を被っているのではなく、自主避難区域(ふくいち周辺)も含めて補償の拡大が必要だと訴えています。それほど、命を守る自主避難はたいへんなことなのです。

本文は、坂本さんの友人柳澤史樹さんのFBから引用させていただきました。なお、坂本さんご本人の了解なしに勝手に掲載させていただきます。

【意見陳述要旨 坂本建】

私は、今日、子どもたちの未来を創るためにここにいます。

私は、2011年3月11日の東日本大震災、原発事故が起こるまで福島県双葉郡富岡町で父母、妻、一男二女の子ども達、私の3世代7人で暮らしていました。

私は会社員、妻はパートとして働いていました。共働きにより目が届かない子ども達を祖父母が見守ってくれていました。近隣の顔の見える方達と地域行事に汗を流し、同じ時間を過ごす。そこに故郷の暮らしがありました。

たった一度の原発事故によって避難により父母とは別々の暮らしとなり、それまでそこにあった私達家族の慎ましくも穏やかな日々の暮らしが全て奪われました。

私と妻はそれまでの仕事を失い、長女は、スポーツ推薦が決まっていた高校への進学を断念しました。他の子ども達も、それまでずっと一緒だった友人や生まれ育った故郷を奪われました。

必死の思いで神奈川県へ避難した後、健康だった妻が酷く体調を崩しました。私は、住まい、子ども達の学校、自分達の仕事、全てを一から取り戻さなければならず、とにかく家族を守ることだけで精いっぱいの日々を過ごしていました。子ども達も寂しさで胸を押しつぶされそうな思いを抱えながら、自分を保って懸命に生きていました。

他方で、私達被害者の苦しみをよそに、国や東電は正しい情報を明らかにせず、メディアから流れてくるニュースは放射能汚染と健康リスクや被害の実相を正しく伝えていません。

私の娘は福島に残っている友人の健康を心配しながらも、そのことを言えずに複雑な表情で会話していました。私は、その娘の姿に胸が締め付けられる思いでした。

そうしたことから、私は我が子だけでなく、他の子ども達、特に福島に今も残っている子ども達を守りたい。そのためにはどうすれば良いのかを考え続けるようになっていました。

我が子を…、子ども達を守りたい…その為には被害当事者が繋がり助け合わなければならない。被害者の実情を知り、伝えなければならないと考えるようになりました。

そして、各地の交流会に出向き、他の被害者の声に耳を傾け、語りかけ続けました。

そこには、個人では解決出来ない複雑な事情があり、翻弄され、苦しめられる一方の被害者の悲痛な声がありました。

被害者である私達自身がネットワークを創ろうとの思いから、平成25年3月5日に「避難・支援ネットかながわ(略称Hsink)」を設立し、神奈川県内の避難者の生活再建の為の諸活動に取り組むようになり、交流会や勉強会、避難者の憩いの場の提供を目的とする「ふくしまカフェ」の運営や通信紙の発行をしています。

アンケートも実施しました。そこで見えてきたものは、
環境の変化に心が対応出来ず、うつ、引きこもり、体調を崩す人達の姿。
そんな中で人生を終えて行く高齢者の方々。
甲状腺に異常を抱える子どもを持つ母親の不安と子どもを被ばくさせたことの後悔。
僅かな賠償のみで、母子避難という二重生活の苦しみの中、将来の見通しも立たない多くの区域外避難者の姿。

それぞれの避難者の声を聞き、苦悩や被害の実態を知るたび、苦しい子どもの気持ち、親の気持ちを想い、涙が溢れます。

私は避難指示が出された区域からの避難であり、東電の基準によっても一定の賠償が認められていますが、同じように避難した区域外避難者の方には僅かな賠償しか認められません。

私達被害者は、この裁判で慰謝料を始めとする完全な賠償を求めていますが、これは避難指示の有無によることなく、平等に認められるべきだと思います。

法は国家権力を規制し、国民を守る為にあるはずです。
司法は国民の人権を守る最後の砦であるはずです。
私は求めます。

国策により人災を引き起こした国、東電の責任を明確にし、国民に対し謝罪する事を。

放射能汚染による被害を受けた人々に対する平等な損害賠償を。

その先に、国民を、子ども達を守れる日本の姿があるはずです。

以上

Hsink 避難・支援ネットかながわ
http://hinansien-netkanagawa.org/