「カロリー神話」は間違っているのではないか

今でこそ、肥満は生活習慣病の原因だという常識が広まりつつありますが、「痩せれば健康になる」という常識はありません。

痩せていると、胃弱・病後や貧相といったマイナスーイメージと結びつくのがふつうなのでしょう。
そこで、「痩せれば元気になる」ことを証明しました。この本は、超低カロリー食を一年間続けた実験レポートと、試してみたくなった皆さんに必要となる手段・方法・注意をまとめたものです。
メタボリック対策が進まない背景には、痩せることや低カロリー食への漠然とした不安があるはずです。成人男子なら1日に2500キロカロリー、女性であれば2000キロカロリーを摂取しないと健康は維持できないという「カロリー神話」の影響です。
それは、本当でしょうか? 地球は丸いという考えが常識ではなかったころ、航海を続ければ二度と帰ってこられない、つまり「死」が待ちかまえていると人々は考えていたことでしょう。
私か、1日計500キロカロリーレベルの食事を続けていると、ある運動生理学の先生から「体脂肪が落ち、筋肉も骨も体力維持に消費されて4ヵ月後には死んでしまう」と宣告されたのが今年(2008年)の1月下旬のことです。しかし、そうはならず、健康レベルは格段に上がりました。地球は丸く、「微食」は元気の源のようです。
新大陸発見の航海から生還した船乗りの日誌と海図を眺めるような気持ちで、この本を楽しんでください。だれも傷つくことなく、宝の山を持ち帰ることができたのですから。
まずは、自己紹介。私は、1944年生まれで、身長173センチの男子。大学では生物を学び、学術調査で1年の半分近くをテントで過ごしていたころの体重は104キロでしたが、今は57キロ。自分で考えた減量法を自分の体で実験し始めたのは2007年5月末からで、1年間で23キロ痩せました。その前から玄米菜食を継続していたのですが、ふつうの食事をしていたころの体重は90キロ前後でした。
私はずいぶん以前より「マクロビオティック」の普及に積極的に携わってきました。ところが、自分でも実践し、皆さんへの指導も続けた私のマクロビオティックに対する考えは、この10年間で大きく変わりました。そのきっかけになったのが次の疑問です。
食事内容によって、なぜ病気が防げるのか?
心の持ち方は、健康にどのような影響を与えるのか?
その疑問を解消するヒントを与えてくれたのが安保徹・新潟大学大学院教授です。安保先生は免疫力と自律神経の関係を解明されましたが、そこに陰陽五行論などを加えて私か解釈すると、病気になったり治ったりする現象と食事内容や性格・態度とのメカニズムがすっきりと説明できたのです。
こうしたことがわかると、現代人の「生」と「食」と「死」のぎくしゃくした関係が見えてきます。
また、いわゆる「カロリー神話」は間違っているのではないかと思うようになりました。
そして、食べることの根源的な意味を考えるためにも、2007年5月末から自分の体で超低カロリー食で「ほとんど食べずに生きる」実験を始めました。(続く)

出典:『ほとんど食べずに生きる人』柴田年彦 安保徹監修 三五館(2008)


コメント:「マクロビオティック」の普及に長年たずさわってきた体験をベースに、現代の「カロリー神話」を自らの体で科学的に追及しようとした試み。第1章で実践報告として1か月ごとの変化を示したあと、第2章は客観性を期すために、安保徹氏と原正俊氏(初代厚生省栄養指導官・医学博士)へのQ&Aで構成している。第3章は「小食・微食を可能にする技術と思想」で実践ノウハウを公開。でも著者は、「食べなければ痩せられるという単純なメタボ対策ではありません」と「はじめに」で明言しているように、いわゆる安易なダイエット本ではありません。その点くれぐれも誤解なきように・・・。