「アラ、私、もうそんな年なの?」

  気がつけば私も、いまや87歳。
 実のところ、80歳になるまで、私には年齢の自覚がありませんでした。

ですが、「80歳のお誕生日、おめでとうございます」と、あまりにもたくさんの方にいわれて、「アラ、私、もうそんな年なの?それなら、年寄りらしくしなきや」といったのを覚えています。
あれから7年経ちますが、相変わらず、朝4時に起きて、木刀100回の素振りが日課の毎日。食事療法、健康法を皆さまにもっとお伝えしようと講演会や旅行などリュックひとつで世界中を元気に飛び回っています。
ところが、小さいころの私は病弱で、医者から「20歳まで生きられない」といわれたほどでした。
そんな私を救ってくれたのが、私の人生の師で、「マクロビオティック」という健康・幸福理論の創始者桜沢如一先生でした。
桜沢先生と出会ったのは、私が16歳のころ。母が肺結核を患ったのがきっかけでした。
母をなんとか治そうと、最初の羽田空港を造った建築家で事業家でもあった父は、お金を惜しむことなくいいといわれることはなんでもしました。
ドイツから医師を呼んだり、温泉療法を試したりと、あらゆる手を尽くしましたが効果なし。そんなとき、知人から「医者も薬も手術もいらない、食べ物だけで病気を治す食養の先生がいる」と聞いたのです。それが桜沢先生だったのです。
先生は、私の病の原因と結果を明快に説明してくださいました。間違った食生活が原因だから、食事を変えれば体質が変わって病気も治る、と。
当時の私は、父が飴工場の理事もしていたので、毎日のように工場へ遊びに行っては、甘いお菓子をたくさんもらっていました。そのうえ、母が近代栄養学を熱心に学んでいたので、食事は肉や卵が中心。それで、体のなかがドロドロになっていたのでしょう。
食べ物は、私たちに生命力を与えてくれますが、間違った食材を、問違った調理法でとった場合、まったく簡単に私たちを病気にすることも殺すこともできるのです。
残念ながらすでに食事がとれない状態だった母は助かりませんでしたが、私はその後、桜沢先生に直接指導を受けて食を変え、暮らしを変えてすっかり元気になったのです。(「はじめに」より)

出典: 『免疫力を上げる 一生モノの「食べ物・食べ方」』 田中愛子 三笠書房(2011)

コメント:この世界では著名な愛子先生のことは、拙著『桜沢如一。100年の夢』で取材させていただいた。本書「はじめに」にあるとおり、ひょうひょうとした、かわゆ~いおばあちゃまだった。