こづゆ―福島県会津

会津のみそやしょうゆを醸造する旧家で、「こづゆ」を作っていただいたのは数年前。

郷土料理は本来、家庭に伝承されていくもの。私は機会あるごとに各地の家庭にうかがい、その家に伝わる料理を味わわせていただいています。
会津のみそやしょうゆを醸造する旧家で、「こづゆ」を作っていただいたのは数年前。この料理は冠婚葬祭などの集まりには必ず作られる汁気たっぷりの煮物で、独特の小さな漆器によそいます。何杯おかわりしてもよいのだとか。驚いたのは乾物の使い方。その旧家では、前の晩から数種類の乾物を戻し、待っていてくださいました。
山間(やまあい)の会津で干ししいたけやキクラゲが利用されるのは当然ですが、こづゆのだしの決め手は街道を通って海辺の町から運ばれた干し貝柱。ひと晩かけて戻された貝柱はふっくらとして、戻し汁もおいしそうです。貝柱としいたけの戻し汁を合わせると、海のものと山のものの、干して凝縮されたうま味が混然一体となり、煮込んだ具材の味を引き立てます。そして最後に入れる小さなまめ麩(ふ)(白玉麩)が、その汁を吸ってまたおいしいのです。
乾物と根菜でごちそうになる、すてきな家庭料理です。

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