●肉食者より多く食べてもスリムでいられる理由

体重増加問題の解決策はある。しかし、それをいかに自らの生活の中にとり入れていけばよいのだろうか。

それにはまず第一に、カロリー計算をする考え方を捨てることである。特別なことのない限り、好きなだけ食べて、なおも体重を減らすことは可能なことだ。ただし、体にふさわしい食べ物を食べている限りだが ――(詳細は下巻、第12章)
次に、「好きなものを奪われてしまった」という喪失感や被害者意識、「新しい食習慣は昧がない」といった思い込みを捨てることだ。そんな必要はない。
空腹感は体のどこかに異常があるサインであり、カロリー計算などによる長期にわたる空腹は、カロリーの損失を防ぐために体が総代謝率を低下させるので、体にとってマイナスだ。
口に運ぶ食べ物についていちいち考えなくても、体にはプラントベースの正しい食事で栄養を与えられるメカニズムが備わっている。これこそが安心して誰もが実践できる食べ方なのだ。「体に正しい食べ物」を与えてやれば、体は正しいことをするようになる。
いくつかの研究論文では、「プラントペースで低脂肪のホールフード」の食事に従った人は、摂取カロリー量が少なくなっている。それは彼らがひもじい思いをしているからではない。
肉食者と比べてみると、彼らは食べるのにもっと長い時間を費やし、より多くの量を食べていると考えられる。それでも摂取カロリー量が少ないのは、果物・野菜・穀物は、ホールフードの形で摂取された場合、動物性食品やバターや油などの脂肪よりもずっとカロリー密度が少ないからである。果物・野菜・穀物のカップ一杯に含まれるカロリー量は、ずっと少ないのだ。
脂肪は一グラムにつき九カロリーもあるが、炭水化物やタンパク質は一グラムにつきわずか四カロリーしかない、ということを覚えておいてほしい。
さらに丸ごとの果物や野菜、全穀物などには、大量の食物繊維が含まれている。そのため満足感を与えてくれ、それでいて食事のカロリー量を増やしてしまうようなことはほとんどないのだ。
体にふさわしいヘルシーな食事内容であるならば、たとえかなりの量を食べたとしても、摂取し、消化し、吸収するカロリー量を減らすことができるのである。
しかし、この説明だけでは、「プラントペースでホールフードの食事」の恩恵を説明するには不十分だ。
アトキンスーダイエットや流行の「低炭水化物ダイエット」に対して私か批判した内容(上巻、二七六ページ参照)は、「短期間プラントペースの食事をしながら、より少ない量のカロリーを摂取する」という研究にも当てはめることができる。
だが、長期的に見ると、「非常に低レベルのカロリー量を維持し続けるのはきわめて困難だということに被験者は気づくだろう。それゆえ、カロリー制限による減量が、長期にわたる減量をもたらすことはほとんどない。
ほかの複数の研究が、「プラントペースでホールフードの食事」による健康効果を説明するのに、重要な役割を果たしているのはそのためだ。この研究は、「減量効果は単なるカロリー制限以上のものによる」ことを明らかにしている。
この研究は、ベジタリアンは肉食者と同量か、あるいはそれよりすっと多くのカロリーを摂取しているが、それにもかかわらずスリムであることを立証しているのだ。(続く)

出典: 『葬られた「第二のマクガバン報告」』 (中巻) T.コリン.キャンベル、トーマス.M.キャンベル 松田麻美子訳 グスコー出版

コメント:肥満体国アメリカで食肉業界などの圧力により葬られたという「マクガバンレポート(議会報告書)」の存在を明らかにし、実証データに基づき正しい食の在り方を説いている。旬の地産地消・身土不二・全体食(プラントペースでホールフードの食事)の重要性を繰り返し言っていることからも、マクバガンその人がマクロビオティックの考えをかなり取り入れていたことがわかる。しかしマクガバンレポートは食品メーカーにとってあまりにも「不都合な真実」であったために葬られた。それにしても、アメリカでさえカロリー偏重主義の弊害を言っているのに、本家の日本では相変わらずという気がする。