名人

篠山市出身の岸田諭さんが、 小倉百人一首競技かるたの日本一を決める 「名人位決定戦」 で見事に名人位の初防衛を果たした。

テレビのニュース番組で決定戦の模様を見て、 岸田名人の鮮やかな技に感嘆した。 ▼将棋界の名人、 升田幸三が 「上手」 と 「名人」 の違いについて書いている (『勝負』)。 上手は、 習い覚えた理論に執着し、 それを羅針盤にして動く。 対して名人は理論を超越し、 自由性を持つ。 ▼武道などの世界に 「守破離」 という言葉がある。 「守」 は、 型を守ることに精進する最初の段階。 次の 「破」 は、 型にとらわれず、 新しい型を編み出す段階。 しかし、 その段階にとどまっていては、 誤ると無規律に陥るから、 解脱しなければいけない。 この解脱を 「離」 という。 「離」 の境地は、 升田の言う名人の定義と符合する。 ▼一局ごとに新手を発見開拓するという意味の 「新手一生」 という言葉を作った升田の将棋は、 よく創作将棋と言われたそうだ。 解脱し、 自由性を持つ名人の域を示す将棋である。 そんな升田だが、 名人位を獲得したとき、 「たどりきて未だ山麓」 と書いた。 ▼名人位を守った岸田さんは、 戦いの後、 「まだまだ歴代の名人には追いついていない。 さらに精進していく」 と語っている。 「未だ山麓」 に通じるコメントであり、 名人の気品を感じさせる。 (Y)

丹波新聞(丹波春秋)より 2014年01月19日

コメント:いいコラムですねぇ。「上手」と「名人」の違い、どの分野でもいえることだね。いわんやサトリ(解脱)の世界においても・・・。